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三井記念美術館 館蔵品展 【三井記念美術館】

この前の土曜日に、三越前の三井記念美術館へ行って、「三井記念美術館 館蔵品展」を観てきました。

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【展覧名】
 三井記念美術館 館蔵品展

【公式サイト】
 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

【会場】三井記念美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】銀座線三越前/新日本橋駅/東京駅/神田駅
【会期】2011年4月16日(土)~2011年6月19日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
かなり空いていて、ゆっくりと鑑賞することができました。

さて、本来であれば今頃は「特別展 ホノルル美術館所蔵『北斎展』」が開催されていたはずですが、ご承知の通り震災があった影響で、作品を借りることができずに中止となってしまいました。今回の展覧会はその代わりに急遽決まったもので、三井記念美術館の所蔵品から、茶道具、絵画を中心にした内容となっていました。特にテーマがあるわけでも無かったので、部屋ごとに気に入った作品をご紹介しようと思います。


<第1室>
最初は陶磁器や茶道具が多い部屋でした。蒔絵や貝合わせの道具なども展示されています。

「紫陽花蒔絵茶箱」
やや小さめの蒔絵の茶箱です。金でアジサイが描かれ、雅な雰囲気があります。背景には金砂子が散らされているのも豪奢な印象があります。 蒔絵の隣には中身の茶道具も展示されていました。こちらは銀が渋い色合いで、やや虹色に光っているように見え、品格を感じました。

伝 狩野永納 「蛤香合 東福門院より拝領」
2枚1セットのハマグリの貝殻の中に絵が描かれた貝合わせの道具です。金色地に簡略化された花が沢山描かれています。色は綺羅綺羅していますが、どちらかというと繊細な印象を受け、軽やかな雰囲気に思いました。

この辺は茶碗がいくつかあります。最初の方には青磁などもありました。


<第2室>
続いて2部屋めは1点のみの展示です。

長次郎 「黒楽茶碗 銘俊寛」 ★こちらで観られます
落ち着いた色合いの黒茶碗です。滑らかな外面と茶色い内面をしていて、黒光りしていました。解説によると、千利休が薩摩の門人から長次郎の茶碗を求められ、3つ送ったところ、これ以外の2つは送り返されてきたそうです。また、長次郎の中では薄作で、胴や口端などに珍しく抑揚があると説明されていました。そう言われてみるとほんの少しだけ歪んでいるところがあるような…。やはり茶碗を理解するのは難しいです^^;


<第3室>
ここは茶室の再現コーナーとなっています。特に気に入ったものは無かったので次の部屋へ。

<第4室>
この部屋は入ってすぐに驚きました。3作品しかありませんが、充実のコーナーです。

沈南蘋 「花鳥動物図」
11幅対の掛け軸です。12ならともかく、11って1幅無くしたのか??と勘ぐりましたが、元々11幅だったとわざわざ説明されていましたw 1幅ごとに花鳥や動物が描かれていて、ずらっと並んだ光景は壮観です。いずれも写実的で非常に細かく、色は繊細でありながら鮮やかに描かれていました。特に気に入ったのは「藤花独猫」という作品で、藤と牡丹?が咲いている下で、地面に伏せている猫を描いたものです。ちらっと右のほうを見るような表情をしていて、白をベースに黒いブチがありました。ちょっと平べったい顔で生意気そうな感じかなw それでも憎めないものがありました。
この沈南蘋は南蘋派ができるなど日本にも多大な影響を与えた人なので、こういう機会に観られるのは参考になります。
 参考記事:伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)

「日月松鶴図屏風」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風です。金地を背景に、松の間で鶴たちがくつろいでいる様子が描かれています。右隻には太陽、左隻には三日月くらいに欠けた月が出ていて、縁起の良さそうなものが揃っていました。全体的に重い感じも受けましたが、見栄えのする作品でした。

醍醐冬基 「源氏物語画帖」
大和絵風の源氏物語の画帖です。1枚ずつが結構大きなサイズで、絵と詩が交互に並んでいます。全54帖あるそうで、繊細で色鮮やかに描かれていました。添えられた公家による詩も流麗で、王朝文化らしい気品がありました。解説によると、作者は後陽成天皇の第九御子の次男だそうで、狩野派の絵を描いたと伝えられているそうですが現存は少ないようです。(これはあまり狩野派っぽいとは思いませんでした)


<第5室>
続いては長細い部屋です。ここは詩歌に関する作品が並んでいました。

土佐光起 「女房三十六歌仙帖」
時代の異なる女流歌人たちを並べた画帖です。絵が2つ、詩が2つという順で並び、十二単を着た小野小町などの女性達が並んでいます。(大雑把に言うと百人一首の姫みたいな感じの絵です) 着物は変化に富んでいて、後姿や横向きの姿などもあり、肖像としても面白いものがありました。

この辺には百人一首かるたや蒔絵などもありました。


<第6室>
第6室の小部屋には切手のコレクションが並んでいました。この美術館は13万点ものコレクションを保有しているそうで、日本やヨーロッパ主要国のものが多いようです。中にはすでに存在しない国のものもあるそうで貴重な内容です。

切手は3方の壁に展示され、日本初の切手?(引受状)や、ドイツのインフレ時代切手などもあります。そのドイツの手紙には、あちこちに沢山の切手が貼られていて、瞬く間に物価が上がっていったことを物語っているようでした。
他にはオーストリアの美術シリーズなども面白くて、ゴシック、ルネサンス、バロック、古典主義などの絵柄の切手もありました。クリムトの接吻をトリミングした切手もあったし、ここは狭い割りに色々な楽しみが詰まっていました。


<第7室>
最後はまた掛け軸や屏風の大作の置かれたコーナーでした。

森狙仙 「岩上群猿図屏風」
2曲の屏風で、岩の上で2組の親子猿ともう1匹の猿が群がっている様子が描かれています。親子猿は背中に子供を乗せていたりして可愛らしく、ふわふわした毛並みも見所です。周りには秋草があるので、どうやら彼らは冬の備えをしているようでした。  左側の扇はほとんど余白のようですが、金砂子などで霞が表現され、しんみりした雰囲気もありました。

狩野栄信 「四季山水図」
4幅対の掛け軸です。日本画というか中国風に見えるかな。描かれているのも中国の風景のようで、濃密な色彩で細やかに描かれています。春夏秋冬を描いているのですが、花とか紅葉があるわけではないので、パッと観てどれがどの季節か見分けるのは難しいくらいでしたw 背景の風景などは奥行きを感じる遠近感があって面白かったです。


ということで、これぞ!という心躍る作品こそ無かったですが、ピンチヒッターでもこれだけのものが揃うのかと、改めてこの美術館のレベルの高さを感じる展示でした。じっくりと作品を観ることができるので、この機会に観ておくのも良いかと思います。
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