関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

近代日本の「洋画」展 【講談社野間記念館】

もう2週間くらい前の日曜日に早稲田の近くにある講談社野間記念館に行って、近代日本の「洋画」展を観てきました。

P1200224.jpg P1200223.jpg

【展覧名】
 近代日本の「洋画」展

【公式サイト】
 http://www.nomamuseum.kodansha.co.jp/installation/index.html#kindainihon

【会場】講談社野間記念館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】都電 早稲田駅、護国寺駅、江戸川橋駅など


【会期】2011年5月28日(土)~7月18日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
非常に暑い炎天下に行ったせいか、空いていてじっくりと観ることができました。

ここはどの駅からも歩いて10分くらいかかるので、今まで行く気がしなかったのですが、2000年にできた美術館だけあって綺麗で落ち着いた雰囲気がありました。入り口はこんな感じで緑に囲まれています。
P1200232.jpg

展示会場は主に4つの部屋に分かれていて、最初の1~3部屋が今回の「近代日本の洋画」展で、最後の部屋はこの美術館に縁が深い講談社の雑誌に関する展示となっていました。特にテーマはないようでしたので、気に入った作品の感想だけご紹介しようと思います。

<Ⅰ 「近代日本の洋画」展>
最初の部屋は裸婦や自画像など人物を描いた作品や、有名画家の作品が並んだコーナーでした。

中沢弘光 「いのり」
黄色に染まる画面の中、背を向けて画面の上方に祈りを捧げる2人の女性を描いた作品です。左の女性は髪を結っていて、どことなく古代の装いのように見えます。右の女性は上半身裸で、表情は見えませんでしたが真摯に祈る雰囲気があって、周りの明るさと共に光に包まれるような神聖さを感じました。

藤島武二 「水浴」
海辺で白い衣のようなものを持って水浴している裸婦の後姿を描いた作品です。遠くにはピンクや水色で描かれた末広がりの山がそびえ、手前には水面とそこに浮かぶ小舟の姿があります。単純化されていて、幻想的な色合いとなっていました。

岡田三郎助 「くもり」
緑の草むらの中、髪を結った横向きの着物の女性が描かれた作品です。背景の緑は薄くて外光派らしい柔らかい雰囲気があります。女性の表情は澄んでいて清々しく、落ち着いた静けさを感じました。

この辺にあった作品はどれも好みでした。続いては風景画のコーナーでした。

藤田嗣治 「キャンボジヤの家」
高床式の熱帯の家々を描いた作品です。手前にはロープに釣り下がった沢山の洗濯物があり、背景には入道雲が見えます。描かれたのは1942年なので、従軍時代の作品かな?? 一見して藤田とはわからず、印象派からポスト印象派の時代のような画風に思えました。 暑い日の午後を思わせる爽やかでありながら少し寂しい雰囲気のある作品でした。

藤島武二 「日の出」
オレンジに染まる空と海の間に、今まさに登ってくる半円の太陽が描かれた作品です。手前には岩場があり、波が打ち寄せてくる飛沫や海の反射の具合も美しかったです。色も構図も好みでした。

この部屋には他にも富士や雪国を描いた作品などもありました。部屋の置くには勝海舟の肖像などもあります。


<Ⅱ 「近代日本の洋画」展>
続いての部屋は山や林を描いた風景画が多いコーナーでした。

安宅安五郎 「下曽我梅林」
丘から山間の村を眺めたような風景画です。手前にピンクや白に染まる木々があり、桜のようにも見えましたが梅林のようです。 ピンク色の山なども描かれ、全体的に単純化された画風となっているのですが、色が淡いけれども鮮やかな印象を受け、誰もいない画面から静けさを感じる一方で春のうきうきするような雰囲気もあるという、不思議な感覚を受けました。

中川一政 「桜島」
近くで観ると抽象画じゃないか?と思うくらい単純化され、様々な色を混ぜたような激しい画風で描かれた桜島の風景です。逆に離れて観たほうが桜島や手前の家々というのがわかりますw 色がとにかく強くて、桜島の雄々しい感じがよく出ていました。筆の激しさからはリズムのようなものすら感じます。

林武 「海」
海と岩礁を描いた作品です。岩は非常に厚塗りして描かれていて、絵の具そのものがうねって打ち上げているような感じで、ある意味3D的な一体感があります。そのためか、岩場のごつごつした雰囲気も出ていました。


<Ⅲ 「近代日本の洋画」展>
続いて3番目の部屋は花などの静物や水彩画の並ぶコーナーでした。

武者小路実篤 「紅椿」
茶色を背景に花瓶に入った真っ赤な椿を描いた作品です。黄色の花弁や緑の葉と共にフォーヴ的な強い色彩で、結構良い絵だと思います。本業は小説家ですが、岸田劉生などと深い交流があったからこんな絵も描けたのかな?
この辺には他にも武者小路実篤の描いた色紙の墨画などもありました。

向井潤吉 「杏花村」
藁葺き屋根の古民家と納屋を背景に咲き誇る桜のような木々を描いた作品です。精密で、明るい色彩が何とも爽やかでした。日本の原風景の美しさを感じる作品です。

奥には三宅克己の外国風景(水彩)が何点かあり、こちらも好みの作品でした。


<Ⅳ 講談倶楽部の世界>
最後の部屋は講談社の歴史に関する展示です。1911年に野間清治という人物が「講談倶楽部」という雑誌を創刊したのが講談社の始まりで、この雑誌はまさに講談を筆記するという内容だったそうです。その内容も時代によって変わって行ったようで、ここには様々な絵師による挿絵などが並んでいました。

井川洗 「忠臣蔵大絵巻 殿中刃傷」
刀を振り上げる浅野内匠頭と、しりもちをつき左手で頭を抑えて右手の扇子で相手を指す吉良上野介が描かれた作品です。浅野内匠頭は後ろから押さえつけられていて、背後からは騒ぎを聞きつけて駆けつける侍たちの姿も見えるなど緊張感がありました、陰影の無い浮世絵的な感じで見栄えがしました。

この辺にはほかの絵師も含めて忠臣蔵の大絵巻シリーズが並んでいました。また、絹本着色の作品も壁一面に並んでいます。

伊東深水 「名作小説名場面集 金色夜叉」
梅の林の中、灰色の着物を着た女性が白いハンカチのようなものを口に寄せて泣いている姿を描いた作品です。この女性は恐らくお宮かな?顔の化粧が取れているのか、顔には涙の跡があり木に手を置いて力ない感じでした。感情が分かりやすく表現されていて伊東深水ならではの気品がありました。

伊東深水は他にも何点か挿絵が展示されていました。また、部屋の中央には実際の雑誌とそのコピーなどもあります。


ということで、作品数はあまり多くはないのですが、知らない画家を含めて個性的な作品に出会うことが出来ました。ゆっくり鑑賞できるし、この辺は閑静で良い雰囲気なのでまた訪れてみたいと思います。

おまけ
休憩室にはテラスになっているところもありました。自販機で買ったお茶を飲んで一休み^^
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コメント
No title
素敵なお庭ですねえ
2011/07/16(土) 02:39 | URL | ririy63 #Vrs7n8GA[ 編集]
Re: No title
>ririy63さん
コメントありがとうございます。
まあ、庭はそんなに広くないのですが、休憩室の前に見えるので落ち着いた雰囲気でした^^
2011/07/17(日) 01:05 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
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