関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~ 【永青文庫】

前回ご紹介した講談社野間記念館の展示を観た後、すぐ近くにある永青文庫で「細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~」を観てきました。

P1200219.jpg P1200253.jpg

【展覧名】
 細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~

【公式サイト】
 http://www.eiseibunko.com/exhibition.html

【会場】永青文庫  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】都電 早稲田駅、護国寺駅、江戸川橋駅など


【会期】2011年5月28日(土)~7月31日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

ここは講談社野間記念館から近いのでハシゴするのに最適なのですが、こんな感じの看板もありました。せっかく行くなら両方行けということでしょうねw
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ここは元々、大名である細川家の屋敷があったところで、16代当主 細川護立(1883年~1970年)によって設立されました。細川家の成り立ちや細川護立については以前、東京国立博物館の展示の際に観たので、それを思い出しながら入りました。(詳しく知りたい方は参考記事をご覧ください。) 建物の中に入った瞬間に古い学校のような雰囲気と匂いがしてどこか懐かしいw
 参考記事:細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション- (東京国立博物館 平成館)

さて、肝心の展覧会についてですが、3階が企画展で2階がコレクション展となっていました。両方まとめて気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。


<細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~>
まずは今回の特別展です。細川家が所有していた中国古典の本が並ぶ展示で、正直地味な企画だなあと思いつつも行ったわけですが、予想以上に楽しめる内容となっていました。

笑笑生 「金瓶梅」 ★こちらで観られます
これは中国四大奇書の1つで、作者の名前も変な名前ですw その内容はショッキングで、奥さんと妾を持つ男が、さらに人妻を奪ってその夫を殺したり、義兄弟の妻も奪って義兄弟を殺すなど不道徳な内容となっています。そのため、この作品は禁書となったようで、よく残っていたと言えるのではないでしょうか。そんな本でも当時の明時代の生活や文化を伝える貴重なもののようで、展示されていたページには見開きで家の中で酒を飲む中国風の貴族?のような人物が描かれていました。絵だけ見ても中身のドロドロした感じはうけないかなw

「山水毛彫硯屏風」
小さい屏風のような作品で、4枚連続で山水画が墨の濃淡で描かれています。絵かと思ったのですが、これは陶器の板に毛のように細い線を鏨で彫った毛彫りに墨を入れているとのことです。遠くの山が霞んだり、手前の家々の瓦まで描き込まれているなど、非常に細やかでますます陶器とは思えず、驚きました。

「万暦木柄筆」
三国志の「魏志倭人伝」と呼ばれる東夷伝の倭人の条が書かれた本です。とは言え、これは1892年に写されたもので、細かい文字で整然とした雰囲気の本となっています。中には卑弥呼の邪馬台国の様子なども書かれているようで、ロマンを感じさせる本でした。

この辺には熊本漢学の系譜に関する資料も展示されていました。細川家は伝統的に漢学への理解があるそうで、時習館という学校を作ったりもしています。そこから多くの漢学者が輩出されたことも解説されていました。

「酒器意匠譜」
「しゃく」や盃、徳利など、いかにも中国という感じの酒器をスケッチしたデザイン帖です。細かく写実的に描かれ、印刷も綺麗なので最近の本かと思いました。こうした酒器を写生した作品は類似したものがないらしく非常に珍しいもののようです。隣には実物の「しゃく」も展示されていました。

「敦煌本文選注」 ★こちらで観られます
敦煌の石窟で発見された詩文集「文選」の注釈書です。黒くはっきり書かれた漢文の隣に、ぼんやりとした字で何かが書かれ、これが注釈かな? 字が綺麗で、意外と高校のときに習った漢文のように読めました。意味までは難しいですがw
この近くには敦煌に関する作品もありました。

「康煕赤絵大筆」
陶磁器でできた筆の軸です。白地に赤と青で描かれた絵付きで、花鳥が描かれています。ちょっと伊万里の柿右衛門に似た感じかな。詳しいことは分からないようですが、可愛らしい作品でした。

細川重賢 「三国志人名記」
三国志に出てくる人名をまとめた作品です。蜀の国の人物のページが展示されていて、劉備・関羽・張飛・諸葛亮・趙雲などの名前もあります。知らない名前もかなり多くて、これがすべて分かる人がいたら相当なマニアじゃないかなw 三国志好きには面白い作品だと思います。

ここら辺で企画展は終わりで、続いては2階のコレクション展示です。

<コレクション展示>
ここのコレクションは大きく2つに分けられるそうで、1つは肥後熊本54万石の大名時代に集められたもの、もう1つは細川護立が収集したものだそうです。私が興味を持ったのは細川護立が収集した作品でした。

白隠慧鶴 「隻履達磨図」
片足の靴を持って振り返る達磨(だるま)の姿を描いた掛け軸です。これは達磨が亡くなって3年後にこの姿で達磨が現れたという伝説を元にしているそうで、その時の皇帝が達磨の墓を掘って確かめたところ、空の棺に残りの1足が残されていたそうです。赤い衣を風になびかせていて、衣の輪郭は太いながらも流れるようでした。それに対してヒゲや体毛は緻密に描かれていて、その使い分けが面白いです。眼光が強く、どこか人間離れしている雰囲気を感じました。
この隣にも達磨を描いた作品がありました。また、たくさんの蔵書が置かれた本棚もあって、部屋には独特の雰囲気があります。

正宗得三郎 「中国服を着た女」
暖炉の上に飾ってあった近代の油彩画です。青に白の水玉のチャイナドレスを着た女性が、椅子に腰掛け、手には黒猫のぬいぐるみ?を持っています。背景には青地に赤い丸のついた文様のカーテンが描かれていて色の組み合わせが響き合うようでした。この画家はマティスに師事していたので、そうした点に影響を感じるかな。 また、見た瞬間にでどこかで似た作品があったような…と思ったら、この女性は安井曾太郎の代表作「金蓉」と同じモデル(小田切峯子)だそうで、なるほどと合点がいきましたw
 参考記事:
  安井曾太郎の肖像画 (ブリヂストン美術館)
  東京国立近代美術館の案内 2010年02月

この辺には七宝の香合や水差しなども展示されていました。

「七宝瓢形瓶」
首と口が2つあるひょうたん型の徳利です。深い青や紫色をしていて、金のリボンを結んだような文様もあります。表面には細かい渦巻文が無数にあり、草花もあって軽やかで可憐な雰囲気がありました。

この近くには「玉(ぎょく。美しい石)」でできた獅子やカニ、馬、猿、猫などの小さな置物もありました。素材の美しさと可愛らしさが楽しめる逸品です。


ということで、予想以上に楽しめました。中国の本だけじゃなく常設もあるのが良かった^^
ちなみに追加料金を払うと↓この別館にも入ることができます。
P1200250.jpg

中にも数点作品があるそうですが、コストパフォーマンスが微妙だったのでこの日は入りませんでした。その内、機会があったら入ってみようと思います。
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