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アートフェア東京2011 【東京国際フォーラム】

日付が変わって昨日となりましたが、土曜日の夕方に有楽町の東京国際フォーラムに「アートフェア東京2011」を観に行ってきました。

P1200800.jpg

P1200797.jpg


【展覧名】
 アートフェア東京2011

【公式サイト】
 http://www.artfairtokyo.com/

【会場】東京国際フォーラム 展示ホール&ロビーギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・有楽町駅


【会期】2011/7/29(金)~7/31(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
夕方なら空いているのではないか?と予想したのですが、混んでいてチケットを買うのにも10分くらいかかりました。こんな感じで並んでいました。
P1200799.jpg

さて、このイベントは毎年4月上旬頃に開催されているのですが、今年は東日本大震災の影響で7月末まで延期されていました。イベント内でも震災の被災者へのメッセージや、カタログの一部が義援金に回される旨が放送されるなど、震災への配慮が見られます。
と、いまだに震災は収束を見せない状況ではありますが、今回のイベントも去年に負けず劣らずに数多くのギャラリーが集まって多くの人々で賑わっていました。このイベントの面白いところは実際に美術品を買えることなんですが、今年も驚きの価格のついた作品などもありました。詳しくは気になったブースを通してご紹介しようと思います。

 参考記事:
  アートフェア東京2010 (東京国際フォーラム)
  アートフェア東京2009 (東京国際フォーラム)


会場は大きく分けて2つあり、まずはメイン会場です。端から蛇行する順序で観てきました。実際には現代アートが多めなのですが、メモしてきたのは伝統的な作品が多いかもw

A05 <ギャルリー サン・ギョーム> ★ブース紹介ページ
ここにはエゴン・シーレのリトグラフやジョセフ・コーネル、ピカソ、マン・レイなど有名作家の作品などがありました。マン・レイの空飛ぶ唇の絵もあったのですが、しっかり売れていました。(値段は分かりません)
 参考記事:マン・レイ展 知られざる創作の秘密 (国立新美術館)

A09 <柳ヶ瀬画廊> ★ブース紹介ページ
ここには熊谷守一の猫を描いた作品などが並んでいました。油彩やパステルの作品があり、どれも静かに眠っている姿で可愛らしいです。単純化された形態もいい感じ。

A03 <千代春画廊> ★ブース紹介ページ
笹本正明 氏の黄色~金色を中心とした幻想的な作品が並んでいました。色合いや緻密さがクリムトを彷彿とさせる華麗さです。また、それだけではなく不思議な光景がシュールで面白かったです。

この辺には過去のアートフェアのカタログなども並ぶショップもありました。何と500円!w 定価で買ってる私としては何だか切なくなりますが、バックナンバーは嬉しいですね。

E03 <ギャラリー銀座アルトン> ★ブース紹介ページ
去年もこのギャラリーの卯野和宏 氏の作品がかなり気に入りましたが、今年も卯野和宏 氏の作品がずらっと並んでいました。いずれも写真のように写実的に描かれた現代女性の肖像なのですが、女性の神秘性を強調しているような美しさがあって好みです。今年も堪能してきました^^


この辺は中国関連の作品を取り扱うギャラリーが集まっていて、俑や磁器などが売られていました。

E13 <青木画廊> ★ブース紹介ページ
ここは色々な作家の作品があってどれも良かったのですが、特に面白かったのは江本創という作家の作品です。小さな悪魔?や一角獣風の頭と人の体の怪物など、5体の異形のミイラが並んでいました。造形も凄いですが古びた感じがリアルでした。
 参考リンク:青木画廊の江本創紹介ページ

E14 <ギャルリーためなが> ★ブース紹介ページ
ここで気に入ったのはチェン・ジャン・ホンという画家の作品でした。オレンジや黄色、黒など墨絵の雰囲気のある抽象画のような作品です。よく観ると蓮を描いたもののようで、どことなく琳派の作風を思い起こします。水墨のように見えましたが油彩のようでした。この人の作品は雅でかなり気に入りました。

B23 <三田アート画廊> ★ブース紹介ページ
ここには葛飾北斎の冨嶽三十六景や歌川広重の東海道五拾三次など浮世絵が並んでいました。美術館でよく見る「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」などもあったのですが、こちらのお値段は何と1800万円!! 欲しい方がいらしたら是非w 伊東深水などもあったのですが、こちらも220万円くらいでした。やはり有名作は高いんですねえ。
 参考記事:
  本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
  浮世絵入門 -広重《東海道五十三次》一挙公開- (山種美術館)
  広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展 (うらわ美術館)

B15 <角匠> ★ブース紹介ページ
こちらも浮世絵を扱っているブースで、喜多川歌麿などがありました。特に目玉は新発見の肉筆かな。落款が無いそうですが、今回初めて公の場に出てきたそうです。また、その他にも歌麿の春画などもありました。歌麿の名前はそちらでも海外で有名ですもんねw

ちなみに去年のこのブースは北斎の肉筆画が1億3000万円で売られていました。

C13 <GALLERY水無月> ★ブース紹介ページ
ここは奥村晃史という画家の作品が並んでいました。写実的な動物を描いた作品が多いのですが、シュルレアリスム的な不思議な画風となっていて、ウィットに富んだ面白い作品がありました。

E07 <画廊くにまつ> ★ブース紹介ページ
ここは多くの作家の作品があったのですが、一番目を引いたのは松尾太一という作家の作品でした。透明なポリエステル樹脂に包まれた生花で、赤紫の可憐な花が閉じ込められています。透明の樹脂も有機的で優美なフォルムをしていました。それにしてもどのように生花のまま閉じ込めたんだろう??と不思議に思います。

E09 <ギャラリー紅屋> ★ブース紹介ページ
ここにも個性的な現代作家の作品が並んでいたのですが、面白かったのは有井カヅキという画家の絵です。歌川国芳の「相馬の古内裏」や「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」などを元に、この画家オリジナルのファンシーなキャラクターが入っていたり、絵の一部が改変されていました。中々茶目っ気があって楽しい雰囲気ですw
 参考記事:
  破天荒の浮世絵師 歌川国芳 前期:豪傑なる武者と妖怪 (太田記念美術館)
  破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想前編(太田記念美術館)
  破天荒の浮世絵師 歌川国芳 後期:遊び心と西洋の風 感想後編(太田記念美術館)
  歌川国芳-奇と笑いの木版画 (府中市美術館)

このブースにはロッカクアヤコ氏の作品なども展示されていました。

D15 <ギャラリー戸村> ★ブース紹介ページ
ここは今年も高松和樹 氏の作品が並んでいて、これを楽しみにしていました。黒地に白いアクリルで年輪を重ねるように描かれた少女たちの絵は今年も大人気で、軒並み売り切れでした。これは本気で欲しいです(しかも買えそうな値段だったりします) 他にも、パネルにアクリルで描いた髑髏のシリーズなどもあり、これは初めて見る作風でした。これも3万円くらいなので買おうと思えば買えるかも??

D12 <SHINOBAZU GALLERY> ★ブース紹介ページ
ここには柳ヨシカズ氏などの作品がありました。名画を鏡写しにして2つを1つにくっつけたような作風で、ダ・ヴィンチのモナ・リザとフェルメールの真珠の耳飾りの少女をモチーフにした作品がありました。
 参考記事:ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~ (日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム)

また、斎藤真一の2人の瞽女(ごぜ)を描いた作品などもあり、しばし見入りました。
 参考記事:斎藤真一展 瞽女と郷愁の旅路 (武蔵野市立吉祥寺美術館)

D03 <西村画廊> ★ブース紹介ページ
ここにも最近の画家の作品などヴァリエーション豊富に並んでいたのですが、目立っていたのは舟越桂のスフィンクスの像でした。無表情でバッタ?を食べている耳の垂れた人間風のスフィンクスで、女性の乳房と男性器を持っている両性的な面があります。この人のスフィンクスは何度観ても言い知れぬ不安を覚えますw その後ろにはドローイングの作品などもありました。

S03 <モア・トゥリーズ> ★ブース紹介ページ
ここには栗林隆 氏の作品が並んでいました。栗林隆 氏は元々海外で評価が高かったようですが、日本ではあまり知名度が無かったそうです。しかし、2010年のネイチャー・センス展を通じて国内でも名前が知られるようになったようです。(巨大な林や山を作ってた人です)
 参考記事:ネイチャー・センス展 (森美術館)

今回はペンギンを題材にした作品が並び、ペンギンのためのトレンチコートやペンギン型のバッグなどがありました。トレンチコートをきたペンギンのマネキンは何とも可愛くて洒落ていました。壁にはそれを絵にした作品もあります。 バッグの方はクチバシや羽もついているリュックのようなもので、これも面白くて可愛らしい作品でした。


メイン会場のご紹介はこれくらいにして、続いては上階LobbyGalleryのPROJECTSのコーナーです。

L11 <無人島プロダクション> ★ブース紹介ページ
ここでは加藤翼 氏の引き倒しプロジェクトの映像が流れていました。巨大な木の箱を引っ張る沢山の人々の様子が映しだされ、私が観た時は上野の東博の前にあった噴水あたりのシーンでした。また、ちょっと小さめの木の箱も置かれていました。これは以前に森美術館でも観ましたが大きな木の箱を引っ張り、引き起こして倒すという行動によって他者とのコミュニケーションを生むという意味のようです。
 参考記事:六本木クロッシング2010展:芸術は可能か? (森美術館)

L20 <NANZUKA UNDERGROUND> ★ブース紹介ページ
ここには本堀雄二 氏の仏像作品が並んでいました。仏像といっても木や銅で作られたものではなく、ダンボールを重ねて作られていて、横から観ると色々なダンボールが使われていることがわかります。シルエットしかわかりませんが不動明王、四天王、千手観音など何体もの仏像が並んでいて見ごたえがありました。
 参考記事:植物化石-5億年の記憶- 展 (INAXギャラリー) ※同時開催「本堀雄二 -紙の断層 透過する仏-展」


ということで、今年も楽しむことができました。驚きに慣れてきたこともあり去年に比べると満足度を下げましたが、十分面白いイベントです。この記事を書いた時点で既に2日終わってしまいましたが、気になる方は最終日に是非足を運んでみてください。 また来年も行きたいと思います^^
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Comment
No title
こんにちわ! 
 私は1時頃行って、3時頃出ましたが長蛇の列でした。
 ギャラリー銀座アルトンでは卯野和宏氏本人がいました。
 ギャラリー紅屋は私も気に入りました。ギャラリー戸村も盛況でしたね~
 隣のギャラリー小暮も見ろ!と念を送りたくなるくらいでした。
No title
いつもどうもです!(だまけんさんへも)

私も昨日1時頃行きましたヨ。

特に時間を奪われたのは、ウォーホールのキラキラのミッキー、有元容子、エゴン・シーレ。
シーレのモノクロ版画は、「いくらですか?」と聞くと、8点全部で1,500万円とのこと。印刷サインで、エディションナンバーなしでで。さすが。購入には至りませんでしたが(笑) 
Re: No title
>だまけんさん
いつもコメントありがとうございます^^
やはり1時頃も混んでいましたか~。 夕方ならもしや?と思いましたが甘かったですw

このイベントの面白いところは、たまに本人に会えるところですよね。
私なんかが声をかけるのは気が引けてしまいますが、お客さんに説明しているのを立ち聞きしたりしてますw

ギャラリー戸村は今年も人気でしたね。平常時にお店に行ってみようかなw
Re: No title
> I++M+Aさん
コメント頂きありがとうございます。いつもお世話になっております^^
ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アートにあったウォーホールのミッキーは、版権にうるさいディズニーでも流石に許しているのかと、妙な所で感心してしまいますw
http://www.artfairtokyo.com/gallery/502.html
それにしてもシーレは1500万円ですか! やはりビッグネームは桁が違いますね。一番人通りの多い道にかけてあったので冷や冷やしながら眺めていましたw
…あそこの高額作品を購入している方もいるのだから凄いイベントですね。
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