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書斎の美術 -明清の玉・硝子・金工を中心に- 【泉屋博古館 分館】

前回ご紹介したお店でランチを済ませた後、すぐ近くの泉屋博古館 分館で「書斎の美術 -明清の玉・硝子・金工を中心に-」を観てきました。

P1200896.jpg

【展覧名】
 書斎の美術 -明清の玉・硝子・金工を中心に-

【公式サイト】
 http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html

【会場】泉屋博古館 分館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木一丁目/神谷町


【会期】2011年7月16日(土)~9月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
いつも通り空いていて、ゆっくりと観ることができました。

さて、今回の展示は「明清の玉・硝子・金工を中心に」というサブタイトルの通り中国の明・清時代の様々な工芸品が並ぶ内容となっていました。小規模な展示ですが他館の作品と合わせて80点程度となっていましたので、気に入った作品をいくつかご紹介していこうと思います。


<第1室>
「白玉獣面文蟠龍耳形瓶」
白っぽくてやや緑がかった、いわゆる「玉(ぎょく)」と呼ばれる石で作られた瓶です。側面に龍を象った耳が2つあり、壺の中央には饕餮文(とうてつもん)があり、上の方には蝉の文もあります。結構大きくて、色合いが美しいので見栄えの良い作品でした。
解説によると玉は新石器時代に作られたそうですが、これは清時代の復古作だそうで龍は清時代の影響だそうです。
 参考記事:国宝那智瀧図と自然の造形 (根津美術館)

この辺には爵(しゃく)や香炉なども展示されていて、この玉でできた作品も結構ありました。

「水晶蟠龍蓋獅子耳香炉」
水晶で作られた香炉です。とぐろを巻いた龍の彫刻が蓋にあり、茶釜のような形をしています。足の部分が獣の足となっているのも面白い意匠でした。水晶というだけでも驚きなのに細工も見事です。
この近くには翡翠でできた香炉などもありました。

「金錯花鳥文鉄小花瓶」 ★こちらで観られます
漆の黒地に金で幾何学的な模様や鳳凰のようなものが描かれた小瓶です。解説によると金は象嵌になっているそうで、非常に細かく技術の高さを感じます。形も優美で素晴らしい作品でした。

部屋の奥には内藤湖南博士のコーナーがありました。内藤湖南博士は東洋史学に不朽の業績を残した学者で、中国書画をコレクションしていたようです。ここには書画が5点並んでいます。

乾隆帝 「行書五言律詩」
掛け軸になった書です。清の6代皇帝の乾隆帝による直筆で、自詠の澄観斉という詩を書いているようです。読みやすいスッキリ綺麗な字で、現代日本人でも何となく読めます(意味はわかりませんがw) 真面目そうな印象を受けました。

「鍍金魁星像」 ★こちらで観られます
日本で言うと風神雷神か鬼のような者が、左手で升を懐に抱えて右手では筆を持っている金色の像です。右足を曲げて左足だけで立っているのですが、走っているような姿勢に躍動感がありました。表情はクワッとした顔で、足の鉤爪のようなものなども面白い姿です。
解説によると、タイトルの魁星というのは北斗七星の斗形の四星のことで、さきがけの意味から科挙を目指す者が合格祈願をしたそうです。道教に関係ありそうですね。
 参考記事:知られざるタオの世界「道教の美術 TAOISM ART」 -道教の神々と星の信仰- (三井記念美術館)

「鍍金獣面八卦文喚鐘」
金色の小さめの金です。側面に細かい文様がびっしりあり、上部に双頭の龍が両脇を睨みつけています。非常に重厚で豪華な印象があり、小さいながらも威厳すら感じました。

この辺りには置物やハンコなどがありました。

「黄地紅被硝子瓶」
黄色地に赤の草花文のある瓶です。どぎつい位の色合いで、形は後のアールヌーボーの時代の作品を思わせる大胆さがあります。乾隆帝の時代にはこういう色合いが流行ったそうですが、ちょっと異様な雰囲気の色でした。

この辺には数珠や如意のコーナーもありました。これらも玉でできています。

「鼻煙壺」50点 ★こちらで観られます
嗅ぎタバコを入れるための小瓶が50点、ズラッと並んでいます。50点以上あったようにも見えましたがw どれも一様ではなく、染付風の作品もあれば、被せガラス、琥珀、瑪瑙などを使った作品もあり、意匠もひょうたん型だったる唐辛子のような形、中国風の絵が描かれた作品などいずれも個性的でした。この個性と遊び心は日本の江戸時代の根付に通じるものがあるかも??


<第2室>
中央の部屋を通って反対側の2室です。こちらは酒器(爵、「か」、尊)などが並んでいます。1つ1つの違いはよくわかりませんが、X線の写真で中の断面が分かるのは面白い趣向でした。

「せっ曲文き形香炉」 ★こちらで観られます
2羽のみみずくが背中合わせになったデザインの酒器で、上に把手があり持ち運んで使うようです。みみずくの胴には細かい紋様がタイル画のように並び、渦のように配されていました。形も面白いですが、技術の高さにも驚きます。 解説によると、みみずくには魔除けの効果があると考えられていたそうです。

この部屋には他にも酒器が並んでいたのですが、特に目についたものが無かったので割愛。この部屋の出入口付近に「素文しょう」という青銅器のような楽器のレプリカがありました。これは馬に乗った旅人が旅先で悪霊を祓うためのものだったらしく、春秋時代から漢の時代に流行ったそうです。実際にこれを叩くこともできたので試してみたのですが、基本的には高めの鐘の音で、澄んだ音色でした。
 参考記事:誕生!中国文明 (東京国立博物館 平成館)


ということで、若干地味なテーマではありますが、中々面白い作品もあって楽しめました。六本木一丁目から近い場所にある上、周りにはアートスポットが集まっていますので、美術めぐりの1つとしてハシゴしてみるのも良いかと思います。
この後、大倉集古館にハシゴしました。
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