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アーティストin湘南Ⅰ  ~工藤甲人・伊藤彬・中野嘉之・山本直彰・斉藤典彦~ 【平塚市美術館】

前回ご紹介した平塚市美術館のエコール・ド・パリ展を観た後、隣の部屋で開催されていた「アーティストin湘南Ⅰ  ~工藤甲人・伊藤彬・中野嘉之・山本直彰・斉藤典彦~」も観てきました。

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【展覧名】
 アーティストin湘南Ⅰ ~工藤甲人・伊藤彬・中野嘉之・山本直彰・斉藤典彦~

【公式サイト】
 http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/2011204.htm

【会場】平塚市美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】平塚駅

【会期】2011年7月22日(金)~9月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていてゆっくりと観て廻ることができました。

この展示は平塚市のある湘南をはじめ神奈川県にゆかりのある現代の画家を紹介する展示となっています。今回はその中でも平塚市美術館で個展を開いたこともある5人の作品が50点ほど展示されていました。せっかくなので5人とも気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。

まず部屋に入ってびっくり。大型の作品ばかりです。

工藤甲人 「愉しき仲間(二)」
森の中で地べたに座り、上方のカラスにりんごを差し出す裸の少年を描いた作品です。カラスは巨大で人の半分くらいもあります。その後ろにはキツネや他の人々、大きなフクロウなどもいて、むしろ人が小さいのかも?? シュールな光景です。また、色はぺったりとしていて素朴派のような雰囲気もありました。

工藤甲人 「相」
4曲の屏風で、うねるような桜の木とピンクの花が咲き、背景にはオレン~赤の太陽が描かれています。色は強いものの、ぼんやりと混ざり合うような色彩が独特で幻想的でした。
この画家の作品は夢の中のような神秘的な雰囲気のものが多かったように思います。色彩が強いけれどもまどろむような感じかな。蛾などの虫をモチーフにしている作品の割合も多かったです。

伊藤彬 「夢の入口」
白い満月の浮かぶ夜の草原で、樹の下に佇む少年と左の木陰から出てきた白い象が描かれています。静かな雰囲気の中に現れた像が神聖な感じで、確かに夢の入口のような不思議な光景でした。

伊藤彬 「山水-うつろふ1」「山水-うつろふ2」 ★こちらで観られます
いずれも4面からなる屏風のように大きな作品です。全体的に黒く、炭で覆われているのですが、白い植物が絡まるように描かれています。下の方には白い流れのようなものがあり、これが川の様子のようでした。白黒で暗い画面でしたが植物の生命力や川の勢いを感じさせました。

斉藤典彦 「Luminous:内なる光」
横長の壁画のような作品で3つセットとなっています。(1つに2~3面あるような感じ) 絵の具が流れるような抽象で、白、黒、オレンジなどの色を元に様々な色が重なっています。絵の前に立って囲まれてみると、何か神聖で荘厳な印象を受けました。これはマーク・ロスコの作品が並ぶ部屋に入った時の感覚に似ているかも??
この部屋にはそうした抽象的な作品が多かったのですが、1点だけやや具象的な作品もありました。

中野嘉之 「樹-風の音」 ★こちらで観られます
枯れ木の根元に立つ黒鷺(くろさぎ)を描いた作品です。枯れ木は上に向かって勢い良く伸び、黒い空と同化するように渦を巻いています。背景には金の葉などもあり、風が強く吹いているような流れを感じました。黒鷺の精悍な顔つきと共に緊張感のあるダイナミックな作品でした。

中野嘉之 「刻」 ★こちらで観られます
6曲1双の屏風です。左から右にかけて流れるように水色とピンクの何かが描かれています。夕暮れの雲かな?? その淡い色彩も含めて幻想的で、風が吹いているような感じを受けました。この作品も目の前にすると圧倒されます。

山本直彰 「IKAROS」
まるで足が4本あるように、もがきながら落ちてくる黒っぽい人影があり、タイトルから察するにこれはイカロスのようです。そして、左下にはそれに不釣合いな感じで赤白の3本の煙突のある建物が描かれています。神話と工場という組み合わせが奇妙ですが、この建物は福島の原子力発電所を描いたものだそうです。描いた時期はチェルノブイリ事故の後の頃だそうですが、現在の状況を予見していたかのようで驚きました。イカロスと原発…、非常に暗示めいてます。

山本直彰 「Republic SquareⅠ」 ★こちらで観られます
黒っぽいドアに白い絵の具をぶちまけたような感じの作品です。斜めに線があり勢いを感じる一方、様々な色も使われていて緻密な感じもありました。何故ドアをこのような作品にしたか意図は分かりませんでしたが、この周りには数点ありました。


ということで、現代の日本画の多様性を知ることができました。エコール・ド・パリ展に行く方は、こちらの展示も一緒にご覧になることをお勧めします。この展示の後は年内中にPart3まで作家を変えて同様のテーマで開催されるようです。詳しくは公式ページをご確認ください。


おまけ:
平塚市美術館の中はこんな感じで非常に綺麗です。
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