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ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション  (2回目感想後編)【国立新美術館】

今回は前記事でご紹介した国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」 の後編となります。前編同様に見どころや各章の詳細については以前ご紹介したので省略して、まだご紹介していない作品についてご紹介していきます。以前の記事を読んでいない方は先にそちらを読んで頂けると嬉しいです。

 参考記事:
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 感想前編(国立新美術館)
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 感想後編(国立新美術館)
  ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション  2回目感想前編(国立新美術館)

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まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション
【公式サイト】
 http://www.ntv.co.jp/washington/index.html
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2011/nga/index.html

【会場】国立新美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2011年6月8日(水)~9月5日(月)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
前記事では2章の途中までご紹介しましたが、今回は2章の女性画家のコーナーからご紹介します。

<第2章 印象派>
2章の後半には印象派時代の女性画家の作品を集めたコーナーがあります。

ベルト・モリゾ 「ロリアンの港」
右端の石造りの堤防?のようなところに座る女性と沢山の船が川に浮かぶ光景を描いた作品です。爽やかで透明感のある水の表現はコローに通じるものがあるかな。女性は白いドレスに白い傘をさしていて優美でした。

ベルト・モリゾ 「麦わら帽子をかぶる若い女性」
黄色い麦わら帽子をかぶり、黒い布を巻いた右向きの女性を描いた作品です。実際には柔らかな色彩で描かれていますが、背景が緑で覆われているせいか鮮やかな印象を受けます。手の辺りに赤い花があり、それを観ているのかな?ちょっとボーっとしているような感じもしました。

メアリー・カサット 「浜辺で遊ぶ子どもたち」
砂浜に座って足を投げ出し、小さなバケツとスコップで砂遊びをしている2人の少女を描いた作品です。一人は赤いリボンのついた麦わらをかぶっていて表情は見えません。また、2人はお互いにそっぽを向いていて、一心不乱に遊んでいるように見えました。子供は昔も今も変わらないですねw


<第3章 紙の上の印象派>
続いてはエッチングやリトグラフなどの版画やパステルなどのコーナーです。

エドゥアール・マネ 「シャボン玉を吹く少年」
1868年に描かれた同名の油彩画をもとに描いたエッチングで、少年が右手で皿、左手で細長い管を持ち、その先には丸いシャボン玉が膨らんでいます。解説によると、これは継子を描いたもので、シャボン玉は17世紀頃から儚さの象徴として描かれていたようです。緻密な引っかき傷を使った表現は写実的でこの人物の特徴が伺えるようでした。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「ボールで遊ぶ子どもたち」
カラーリトグラフで、赤い服の子と水玉の服の子がボールを取ろうとしゃがみこんでいる様子を描いています。水玉の子は赤い服の子を引っ張っていて、抑えつけるような感じです。その後ろにも2人の子がいて、ボールを追っかける遊びなのかな? 背景には積み藁らしきものもあり田舎ののどかな生活の様子を想像させました。

ポール・シニャック 「ブイ」
これもカラーリトグラフで、点描の技法で港に浮かぶブイと船、周りの建物などを描いています。6色しかないようですが、青い海にオレンジや黄色が多用されて明るい印象を受けました。海の上で描いたような視点も面白いです。

ポール・セザンヌ 「水浴の男たち(小型の版)」
木の下で水浴している6人の裸の男性を描いた作品です。肌は白くて塗り残しているのかな? すらすらっと描かれた輪郭や淡い色合いが軽やかな印象を与えました。それに加えてセザンヌらしい構成力もあるように思います。

メアリー・カサット 「オペラ座の桟橋席にて(No.3)」
大きな扇子を持ってオペラを鑑賞する女性を描いた作品で、笑顔を浮かべているように見えます。背景には女性を取り囲むように観客席が描かれていました。解説によると、油彩と比べると構図は似ているが より抽象化されて銅版画の効果が際立っているとのことでした。カサットの作品は点数が少ない割に色々と画風が観られて面白いです。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 「マルセル・ランデ嬢の胸像」
横向きでオレンジの髪にピンクの髪飾り?をつけた女性が描かれた作品です。何やら意地悪そうな顔でだいぶ特徴や内面を強調したような感じを受けました。ロートレックらしいシニカルな感じです。


<第4章 ポスト印象派以降>
最後はポスト印象派以降のコーナーです。個人的にはここが一番内容が濃いように思います。

ポール・セザンヌ 「アントニー・ヴァラブレーグ」
黒いタキシード?を着て座る、黒髪に口ひげの男性を描いた肖像画です。似た顔で言うとリンカーンみたいなw 大胆な筆使いと色使いで膝に置いたこぶしなどから力強さを感じました。厳格そうな人物です。

ポール・セザンヌ 「水辺にて」
川辺とその岸にある家々を描いた作品です。抽象的な感じすらして筆が早そうに見えます。所々に塗り残しのような所があり、未完成のようにも見えますがそれがかえって力強い印象となっているように思いました。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「プロヴァンスの農園」
手前に黄土色に染まった草むらが描かれ、そこに背を向けて立つ人、奥には黄色い壁の家と門が描かれています。黄色っぽい色が多い中、赤や緑っぽい空など色が対比的に使われているように思います。細かい長方形を重ねた点描が発展したような表現など、独特の個性を感じました。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「薔薇」 ★こちらで観られます
エメラルドグリーンの背景の前に置かれた花瓶に入った白い花束を描いた作品です。花は波打つように厚塗りされていて、葉っぱは黒い輪郭で力強く表現されています。背景には右から左に流れるような白い線が描かれ、風のようにも思えます。花瓶の前にはこぼれ落ちたような花があり儚さも感じましたが、全体的には生命力がありました。
 参考記事:
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 感想前編(国立新美術館)
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 感想後編(国立新美術館)
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 2回目感想前編(国立新美術館)
  ゴッホ展 こうして私はゴッホになった 2回目感想後編(国立新美術館)

ということで、傑作が多く並ぶ滅多にない機会となっていました。もうすぐ終わってしまいますので、まだ観ていない美術ファンの方は是非足を運んでみることをお勧めします。

おまけ:
国立新美術館は次のモダン・アート・アメリカン展も非常に楽しみです!
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