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くらべてわかるー印象派誕生から20世紀美術まで 【ブリヂストン美術館】

先日ご紹介した日本橋タカシマヤの展示に行った後、京橋のブリヂストン美術館まで歩いて移動して、「コレクション展 くらべてわかるー印象派誕生から20世紀美術まで」を観てきました。

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【展覧名】
 コレクション展 くらべてわかるー印象派誕生から20世紀美術まで

【公式サイト】
 http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/

【会場】ブリヂストン美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅

【会期】2011年9月14日(水)~2011年10月18日(火)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(平日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
平日で台風の日だったので、空いていてゆっくり観ることができました。

さて、今回の展示は「コレクション展 くらべてわかるー印象派誕生から20世紀美術まで」というタイトルがついていて、内容としてはブリヂストン美術館の常設作品の一部を2点比較するように並べたものとなっています。(それ以外は普通の常設展示)
その為 今までご紹介した作品も多いので、この記事ではその趣旨はあまりご紹介せずに、以前ご紹介したコレクション展示の記事と同様に、常設の中で「最近入れ替わって展示されたと思われる作品」をいくつかご紹介しようと思います。あまり解説なども読んでいなかったので、個人的な感覚で適当な感想になります。 私独自の基準ですみません。
 参考リンク:
  印象派はお好きですか? (ブリヂストン美術館)
  美の饗宴・東西の巨匠たち (ブリヂストン美術館)
  なぜ、これが傑作なの? (ブリヂストン美術館)


レンブラント・ファン・レイン 「説教するキリスト」
こちらは「くらべてわかる」の対象となっていたエッチングの作品で、両手を上げて説教するキリストとその周りに集まる人々が描かれています。緻密な線によって明暗がつけられていて、隣にあった油絵(聖書あるいは物語に取材した夜の情景)とは全然違う表現方法ですが明暗の使い分けは流石で、劇的な場面となっていました。
 参考記事:レンブラント 光の探求/闇の誘惑 (国立西洋美術館)

カミーユ・コロー 「イタリアの女」「森の中の若い女」 ★こちらで観られます
この2点も「くらべてわかる」の対象作品で、「イタリアの女」は後ろみきの赤い服の女性が頭に壺を乗せている様子が描かれています。スラっとした雰囲気でやや緊張感があるかな。それに対して「森の中の若い女」は農婦が親しみの表情を見せてこちらを観ているように思います。
この辺はコローが何点か展示されています。

ウジェーヌ・ドラクロワ 「馬習作」
水彩の習作です。何頭かの馬がすらすらと描かれた感じで、淡い色彩と相まって流れるような感じでした。ドラクロワの油彩とは違った面白さがあります。

ポール・シニャック 「ラ・ロシェル」
水彩の作品で、港に浮かぶ沢山の船が描かれています。シニャックと言えば点描で有名ですが、隣にある点描の油彩とは違い、こちらは鉛筆の輪郭線と色面で描かれていました。まっすぐな線や軽やかな線は水彩ならではの味わいがあるように思います。これだけ見たらシニャックと気づく自信がないw

印象派の部屋はいつも通りかな。モネの「睡蓮」と「睡蓮の池」を比べるという面白い趣向もありました。少し進むとマネの自画像とセザンヌの自画像を並べたコーナーもあります。

エドガー・ドガ 「浴後」 ★こちらで観られます
パステルで描かれた作品で、後ろ向きの裸婦が前かがみになって足を拭いている姿を書いています。線で影をつけるなど、筆が早そうで動きを感じるようでした。滑らかな感じがします。
 参考記事:
  ドガ展 (横浜美術館)
  ドガ展 2回目(横浜美術館)

この辺にはセザンヌの水彩やロートレックのポスター/油彩なども展示されています。

エドゥアール・ヴュイヤール 「鏡の前」
暖炉の上の鏡の前に立つ、水色のドレスの女性を描いた作品です。ちょっとぼんやりした顔に見えるかな。鏡には後ろ姿とカーテンが映り込み、カーテンの赤が全体的な色のバランスを取っているように感じました。パステルで全体的にぼやけた感じですが色が好みでした。

オディロン・ルドン 「供物」
小さな縦長の作品で、左にうつむいて立つ女性と、その右に子供らしき人影が描かれています。ちょっと曖昧で細かいところはよくわかりませんが、幻想的でまどろむ夢のなかのような雰囲気がありました。

ルドンはもう1点あり、他にもボナールやギュスターヴ・モロー、アンリ・ルソー2点なども展示されていました。

アルベール・マルケ 「道行く人、ラ・フレット」
川とその脇の道を描いた作品で、道には背を向けた人が歩いています。色は印象派のように明るく淡いのですが、どこか平坦な感じに思いました。遠くはかすむように描かれていて、静かな雰囲気があります。

モーリス・ド・ヴラマンク 「風景」
記憶が曖昧でつい最近観た気もしないでもないですがw 手前に道と木、奥に教会や家々が並ぶ風景が描かれた作品です。水彩で描かれていますがヴラマンク独特の色合いの強さは健在で、素早く塗り重ねて描いたような感じです。隣には油彩画がありますが、恐らく描かれた時代が違うんじゃないかな。こちらの方が好みです。

この辺にはデュフィやルオーもあります。少し進むと、マティス5点、ブラック、ピカソ数点、藤田嗣治4点、佐伯祐三2点、モディリアーニ、マリー・ローランサン3点など錚々たる面々の作品が並びます。(この辺はよく観る作品なので今回はご紹介を割愛)

マルク・シャガール 「ヴァンスの新月」
全体的に赤い色で覆われたグワッシュの作品です。町並みを背景に青い裸婦と、それに抱きあう男性、花束を持った紫の人物などが空を浮遊しているような感じで描かれています。グワッシュでも色合いが強く、シャガール独特の色合いが出ていて目に鮮やかでした。

この後は抽象画のコーナーです。ここは入れ替わっているかは判断が難しいので割愛w 最後は日本の洋画家のコーナーでした。

牛島憲之 「家」
ぐにゃぐにゃとうねるような藁葺き屋根の家々を描いた作品です。落ち着いた色彩で静けさと幻想性がありように思います。隣にあったタンクの道の絵と共に幾何学的な要素も感じます。
 参考記事:牛島憲之 ―至高なる静謐― (松濤美術館)

ここは牛島憲之と岡鹿之助を比べるコーナーで、ここだけ2点ずつ並んでいました。2人とも人口の建造物を描いているのに、どこにも無い心象風景となっている点が共通しているようです。しかし色の取り組みが顕著に違うと解説されていました。

岡鹿之助 「望楼」
西洋の塔のような建物を描いた作品です。ざらざらした質感となっていて、写実のようでありながら何故かシュールな感じすらする素朴な雰囲気があります。

梅原龍三郎 「脱衣婦」
師匠のルノワールに似た作風で描かれた裸婦像です。タイトル通り服を脱ぐ所らしく、みずみずしい体が表現されています。ルノワールに比べるとすっきりした印象を受けるかな。好みの作品でした。
なお、この作品は以前ご紹介した小出楢重の「横たわる裸身」と一緒に並んで比較されていました。2人とも留学しましたが時期が違うのも作風の違いに影響しているようです。

この辺は梅原が数点、安井曾太郎、岸田劉生、青木繁、古賀春江など日本を代表する画家の作品も並んでいました。

猪熊弦一郎 「夜の猫」
水彩で、2匹の猫が向きあう様子を描いた作品です。簡略化されていて抽象画みたいな感じかな。その2匹の下には水面なのか鏡写しとなった2匹の姿があるのですが、上とはちょっと違った姿になっているのも面白かったです。微笑ましい雰囲気の作品でした。
 参考記事:猪熊弦一郎展『いのくまさん』 (東京オペラシティアートギャラリー)

最後は藤島武二の作品が数点並んでいました。

ということで、今回も充実したコレクションを観ることができました。今回ご紹介したのは最近入れ替わったのでは?という作品だけですので、これ以外の作品にはさらに人気の作品もあります。特別展の時は常設作品が一部しか出てこないので、こうした機会は逆にいいチャンスとも言えますので、この美術館に行ったことが無い方にはお勧めです。
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