HOME   »  過去の美術展 (2011年)  »  【江戸東京博物館】の案内 (2011年10月)

【江戸東京博物館】の案内 (2011年10月)

ここ数日、江戸東京博物館をご紹介してきましたが今日で最終回です。前回ご紹介したお店でランチをとった後、常設展示も観てきました。ここは写真を撮ることができますので、今回も写真を使ってご紹介しようと思います。以前ご紹介したところも多いので、私が今回気になったところのみとなりますw

PA080675.jpg

参考記事:
 江戸東京博物館の案内 (2010年03月)
 江戸東京博物館の案内 (東京編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (絵画編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (江戸編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (2011年06月)

公式サイト
 http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/permanent/index.html

2011/10/8~11/23まで「日光東照宮と将軍社参」という企画展もやっていました。
PA080693.jpg
この企画展は写真禁止なので詳細は割愛しますが、徳川家康が神格化されて祀られていることに関する展示で資料が中心となっていました。

少し進むと、今回は江戸の食文化に関する展示がありました。江戸時代は食事の回数が1日3食になるなど、今の食生活の基本が形作られたそうです。食通の江戸っ子たちは旬を楽しみ、料理本を出したり、屋台が賑わうなど、食文化を築いていったようです。

これは「料理早指南大全」という料理本。
PA080718.jpg
絵入りでわかりやすく調理法や味付けなどを指南する本のようでした。

これは「甘藷百珍」
PA080726.jpg
豆腐百珍という豆腐の様々な料理を紹介した本が好評だったことを受けて、様々な百珍本がブームとなったらしく、これはさつまいもの料理を紹介したものです。栄養価が高く飢饉にも強いさつまいもは江戸っ子の好物だったようです。

左は歌川豊国の描いた「二八そば」 江戸の蕎麦屋台は人気が高かったようです。
右は「菓子話船橋」 江戸の名物となった羊羹屋で、尾張徳川家の御用達だったそうです。
PA080728.jpg PA080731.jpg

これは「江戸名物菓子屋双六」
PA080734.jpg
お菓子やさんを巡る双六のようで、面白い趣向です

これは江戸時代の歯ブラシとも言える房楊枝。結構色々なタイプがあります。
PA080737.jpg

これは江戸の初物ごよみ
PA080739.jpg
何だかんだで毎月なにかしら旬のものがあります。お寿司屋さんに行く時の参考になりますねw

これは歌川国芳の「源頼光公館土蜘作妖怪図」
PA080744.jpg
一見恐ろしげな妖怪の絵ですが、初物は贅沢であると水野忠邦が天保の改革で禁止したのを揶揄した意味も含まれています。
 参考記事:破天荒の浮世絵師 歌川国芳 前期:豪傑なる武者と妖怪 (太田記念美術館)

ちょっと先のコーナーに進んでいくと江戸時代の学問や文芸、芸術に関するコーナーもありました。

これは杉田玄白の「蘭学事始」
PA080762.jpg
人体の解剖図であるオランダの「ターヘル・アナトミアを」翻訳して解体新書を作成した時の苦心談を記したものです。小塚原の刑場で腑分けを観たことや、訳す際に単語を1つ1つ考察したことなどが書かれています。
 参考記事:
  三菱が夢見た美術館 - 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション (三菱一号館美術館)
  阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)
  医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る (森美術館)

これは医療用具。
PA080767.jpg

こちらは文芸のコーナー、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の「皿皿郷談(べいべいきょうだん)」
PA080768.jpg
どんな内容かわかりませんが、当時人気があったようです。挿絵が気になりますw

こちらは曲亭馬琴の一番有名な「南総里見八犬伝」
PA080772.jpg
本自体がカッコイイw これは子供の頃に現代語版を読んだことがありますが、登場人物のキャラがかぶり過ぎで誰が誰だか分からなくなりましたw

少し進むと葛飾北斎のコーナーがありました。六玉川シリーズが全部展示されています。
左から順に葛飾北斎「秀逸六玉川 紀伊の国」 「秀逸六玉川 山城井出」 「秀逸六玉川 津の国打衣」
PA080776.jpg PA080778.jpg PA080781.jpg

左から順に葛飾北斎「秀逸六玉川 近江はぎ」 「秀逸六玉川 武蔵手作」 「秀逸六玉川 陸奥千鳥」
PA080783.jpg PA080785.jpg PA080787.jpg

そういえば以前、北斎の六玉川を描いた肉筆を見た覚えがあります。
 参考記事:江戸民間画工の逆襲 (板橋区立美術館)


雪月花シリーズも3枚揃っています。特に好みなのは月の淀川です。
葛飾北斎「雪月花 隅田」
PA080794.jpg

葛飾北斎「雪月花 淀川」
PA080797.jpg

葛飾北斎「雪月花 吉野」
PA080799.jpg

この他にも数点、北斎の作品が並んでいて楽しめました。
 参考記事:北斎とリヴィエール 三十六景の競演 (ニューオータニ美術館)

更に進んで、これは明治の頃の着色写真。江戸の名残があって風流な雰囲気です。
PA080808.jpg

こちらは1890年(明治23年)のロンドンニュース。東京の通りのスケッチとなっています。
PA080816.jpg

さらに進んでこれは大正~昭和の頃のポスター
PA080820.jpg
ラジオを聞くのに一々許可が必要なのかとちょっと驚き。 一昔前のファミコンみたいな存在だったのでしょうかw

これは1936年(昭和11年)のパーマネントウェーブ機
PA080822.jpg
戦争の時代にもこういうものが流行っていたというのは意外です。施術の様子がマッドサイエンティストみたいなw

戦時下の住まいの再現。
PA080830.jpg
ガラスに目張りしたりヘルメットを常備したりおもちゃまで軍艦や戦車だったりして、狂気の時代を感じさせます。ガラスに目張りなんて爆風では無意味なんですけどね…。

これは戦時中のポスター
PA080833.jpg
敵機を撃退して、東京の守りは鉄の桶だと言ってます。次の空襲に備えろとも書いてあるのですが、矛盾していると思わなかったんでしょうか。今ならさしずめ「直ちに健康被害は無い」みたいな感じですかね。

これは空襲で曲がった鉄骨
PA080836.jpg
実際、こんな風になる空襲を受けていたと思うと恐ろしい限りです。

これは「伝単」と呼ばれる心理撹乱のためにアメリカ軍がばらまいたビラです。
PA080839.jpg
日本人捕虜に書かせた文章で、空襲が一般の家も巻き込むことが書かれ市民を不安に陥れるものです。

こちらはお札に見せかけた伝単。皆思わず拾って持ち帰りたくなったのではw
PA080842.jpg
こうした伝単は拾ったら警察署に届けるように言われていたそうですが、こっそり読んでいた人も多いようです。戦地では降伏のきっかけになることもあったらしく効果があったようです。今でも韓国は北朝鮮にビラを撒いていると聞くし、情報戦も効果があるんですね。


ということで、今回も常設まで楽しむことが出来ました。ここの常設は膨大な量の展示があるので、常設だけでも十分楽しめます。ヴェネツィア展に行かれる際にはこちらも覗いてみると面白いかと思います。
関連記事


記事が参考になったらブログランキングをポチポチっとお願いします(><) これがモチベーションの源です。

 

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter



Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

↓ブログランキングです。ぽちっと押して頂けると嬉しいです。





【トラックバック・リンク】
基本的にどちらも大歓迎です。アダルトサイト・商材紹介のみのサイトの方はご遠慮ください。
※TB・コメントは公序良俗を判断した上で断り無く削除することがあります。
※相互リンクに関しては一定以上のお付き合いの上で判断させて頂いております。

【記事・画像について】
当ブログコンテンツからの転載は一切お断り致します。(RSSは問題ありません)

更新情報や美術関連の小ネタをtwitterで呟いています。
更新通知用twitter

展覧スケジュール
現時点で分かる限り、大きな展示のスケジュールを一覧にしました。

展展会年間スケジュール (1都3県)
検索フォーム
ブログ内検索です。
【○○美術館】 というように館名には【】をつけて検索するとみつかりやすいです。
全記事リスト
カテゴリ
リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
メディア掲載
■2012/1/27
NHK BSプレミアム 熱中スタジアム「博物館ナイト」の収録に参加してきました
  → 詳細

■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
  → 詳細

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
  → 詳細

■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

記事の共有
この記事をツイートする
広告
美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
愛機紹介
このブログの写真を撮ってます。上は気合入れてる時のカメラ、下は普段使いのカメラです。
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
75位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
デザイン・アート
11位
アクセスランキングを見る>>
twitter
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

※できるだけコメント欄にお願い致します。(管理人だけに表示機能を活用ください) メールは法人の方で、会社・部署・ドメインなどを確認できる場合のみ返信致します。