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アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue 【21_21 DESIGN SIGHT】

前回ご紹介したイルミネーションを観た後、すぐ近くの21_21 DESIGN SIGHTで「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」を観てきました。(写真は予め昼間に撮っておきました)

PC022177.jpg PC022173.jpg

【展覧名】
 アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue

【公式サイト】
 http://www.2121designsight.jp/program/index.html

【会場】21_21 DESIGN SIGHT  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅


【会期】2011年9月16日 (金)~2012年4月8日 (日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日18時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることが出来ました。

さて、今回の展覧会は有名な日本人デザイナーの三宅一生 氏の服を、写真家のアーヴィング・ペン氏が撮ったものを展示するという内容となっています。
まず簡単に2人について紹介があり、それによると三宅一生 氏は1970年に三宅デザイン事務所を創設し、1973年からパリ・コレクションに参加して「一枚布」という考えのもと、体とそれを覆う布との関係を追求しているそうで、現在も複数のプロジェクトを進行しているようです。
一方、アーヴィング・ペン氏は1917年にニュージャージー州に生まれ、1934年にフィラデルフィア・ミュージアム・オブ・インダストリアル・アートに入学してデザインを学び、1943年に初制作のカラー静物写真がVOGUEの表紙を飾りました。その後、1960年以降はポートレート、ファッション、静物など多くの作品をてがけ、J・ポール・ゲッティ美術館、メトロポリタン美術館、近代美術館、ワシントンナショナル・ギャラリーなど多くの美術館にも作品が所蔵されています。(残念ながら一昨年2009年に亡くなっています)
この2人の出会いは1983年のVOGUEの編集ページでペン氏が三宅氏の服を撮影したのがきっかけだそうで、三宅氏はこんな見方が出来るのかと驚いたそうです。その為、その後のパリ・コレクションで発表した服の撮影をペン氏に頼むようになり、1987~99年の13年間にわたり年2回の撮影が行われたようです。しかし、三宅氏は一度も撮影に立ち会うことはなくペン氏に任せていたようで、そこには「Visual Dialogue」(視覚的対話)と呼べるものが交わされていたそうです。そして、その2人の創作のプロセスに関わっていた北村みどり女史がこれらを集大成して今回の展示のディレクションを行なっています。2人の視覚的対話のエピソードなどもわかるような内容でしたので、会場の雰囲気をご紹介しようと思います。


まず階段を降りると、さらっと描かれたスケッチとポスターが沢山あるのですが、これは一旦後回しにします。展示室に入ると、最初の部屋はアニメーションで2人の仕事を紹介するコーナーです。お洒落な感じのイラストで、日本語の音声と英語のメッセージが出てきます。簡単な流れとしては、三宅氏の作った服をペン氏が撮って、グラフィックデザイナーの田中一光氏がポスターにするという感じで、
デザイン → 仮縫い、制作 → パリコレに出品 → モデルのオーディション → スタッフとのミーティング → パリコレのリハーサル → 本番 → ショーが終わると東京に送り、ペン氏が撮るものを選ぶ → 北村みどり女史がニューヨークに運ぶ → ペン氏が撮る → 北村女史が写真とスケッチを持って帰る → 写真を田中一光事務所に持ち込んでポスターを作る という流れとなっていました。このアニメでも三宅氏はペン氏の感性に任せている様子が分かりました。 映像が終わると、近くにはこのアニメに使われたドローイングなども展示されていました。

続いては横30mくらいある部屋に6面の巨大なモニタがあり、そこに真っ白を背景にペン氏の撮った写真が映し出されるコーナーです。私はあまり三宅氏の作品を知らなかったのですが、これも服なの?という色も形も面白い服が出てきます。さらにその服の面白さだけでなくモデルのポーズや髪型なども含めて芸術的な写真が素晴らしく、何枚かでストーリーがありそうにも思えました。18分くらいの映像ですがあっという間に感じました。

この部屋を出ると、そこにはペン氏の写真が並んでいて、花を撮ったものや、カエルの足とカタツムリを組み合わせたようなグロい感じの作品もいくつかありました。今回のポスターになっている赤い花の写真もここにあり、いずれもどこか艶かしくて鮮烈な印象が共通している気がします。

そして最後には1987年からのポスターと、ペン氏が撮影のために描いたスケッチが並んでいます。ポスターはタイポグラフィが加わるとまた違った印象です。アニメ映像にもあった1994年の作品もありました。 一方、スケッチは写真を撮る前のイメージを描いたものらしく、ラフだけど独創的な雰囲気が既にあるように思いました。最初は落書きみたいに思いましたがw


ということで、先進的で洒落た雰囲気の展覧会だったと思います。ポスターと映像が多いのに入館料が1000円というのは高い気もしますが、モードや写真が好きな人には非常に面白い展示ではないかと思います。


おまけ:
この日は帰りに以前ご紹介した、とんかつのイマカツで夕飯を摂りました。何度行っても美味しいお店です。
 参考記事:六本木 イマカツ (六本木界隈のお店)

おまけ2:
この記事とは全く関係ありませんが、この記事を書いていた時に月食があったので写真に撮ってみました。
PC092331.jpg
こんなに観測しやすかったのは初めてかもw




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Comment
美しい月食写真ですね
イルミネーションといい、月といい、とてもきれいな写真ですね!六本木は最近遠のいていますが、美術館帰りにでも行きたくなりました。(今年は難しいかなぁ…)混雑していなければなおいいのですが。ところで前回私のコメントに間違いがありました。牧谿を木谿としていたり、月岡芳年の弟子の弟子である伊東深水の作品をみるような関連性からみる楽しさを教えていただいたことに何故か酒井抱一と書いていたり…前回、送信前に文章がいつも消えてしまい、何度も書き直ししている間にねぼけてしまっていたようです。(今日もぼけてるかも。)すみません…でも懲りずにまた遊びにきます(笑)。
Re: 美しい月食写真ですね
>mikiさん
コメント頂きありがとうございます^^
六本木のイルミネーションは綺麗ですよ。
いつも混んでいますが、全然見られないというほどでもないです。

書き間違いは多分私もどっかでやってると思いますが、自分では分からないものですねw
特に人名はややこしくなってくるので、たまにド忘れします。
まあ、試験ではないので覚えることより楽しむことを優先したいですね^^

また遊びにきて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします~。
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