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MOTコレクション(2012年01月) 【東京都現代美術館】

前回ご紹介した建築展を観た後、東京都現代美術館の常設展示を観てきました。今回は大きく分けて「布に何が起こったか?|1950-60年代の絵画を中心に」「木の時間、石の時間」「特別展示|淺井裕介」の3つから成る内容となっていました。

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【展覧名】
 MOTコレクション
 布に何が起こったか?|1950-60年代の絵画を中心に
 木の時間、石の時間
 特別展示|淺井裕介

【公式サイト】
 http://www.mot-art-museum.jp/collection/index.html

【会場】東京都現代美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】清澄白河駅、木場駅、菊川駅など

【会期】2011年10月29日(土)~2012年1月15日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは特別展ほどは混んでいませんでしたが、閉館時間が迫っていたので早足で鑑賞してきました。冒頭に今書いたように回の常設は大きく分けて3つの内容となっていましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品を通してご紹介していこうと思います。
 参考記事:入口はこちら - なにがみえる? (東京都現代美術館)


<布に何が起こったか?| 1950-60年代の絵画を中心に>
まずは「布に何が起こったか?」のコーナーです。そのタイトルの通り、キャンバスに対して様々な素材や技法を使った作品などが展示されていました。

デニス・オッペンハイム 「振動 #1」
こちらは映像作品で、ひたすら板を叩く様子が映し出されています。その振動によって、画面下の方にある黒い粉のようなものが徐々に広がっていくようで、その変化をみる映像のようでした。ちょっと単調ですが発想は面白いです。
また、しばらくすると以前ご紹介した「二段階の伝達ドローイング」という作品も流しているようでした。
 参考記事:ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ 前編(東京国立近代美術館)

その隣は嶋本昭三のコーナーで、白ペンキの塗られた新聞に穴が無数に開いている作品や、かなり厚塗りされた作品などが並んでいました。意味はわかりませんが素材への挑戦を感じさせます。

また、少し進むと村上三郎のコーナーです。キャンバスに板のようなものがコラージュされた作品などがありました。いずれも抽象的ですが、大胆な作風でした。

その次の部屋には白髪一雄の作品が並んでいて、大きなキャンバスに絵の具そのものを叩きつけるような作品もありました。渦巻くような作品もあり、エネルギーを感じさせます。

エンリコ・カステッラーニ 「拡張する表面」
こちらは白地に釘が打たれて、へこんだ所と盛り上がっている所が交互に並び、上下左右は間隔が狭くなっているものの規則的に並んでいる作品でした。これも意図は分かりませんが、幾何学的なリズムと色の無さがかえって面白く感じました。

この近くにはルーチョ・フォンタの「空間概念・神の終焉」(★こちらで観られます)という穴だらけの卵型の作品などもありました。

イヴ・クライン 「空気の建築 ANT-102」
白地に青の、スプレーで描かれたような質感の作品です。ヤシの木の周りで人々が踊っているのか苦しんでいるのか分からないようなポーズをとっていて、上の方にはフランス語で長い文章が書かれていました。この人の作品は以前「アントロポメントリー(人体測定)」というものを観たことがありますが、人を置いてそのまま青を吹きつける手法だったと記憶しています。こちらもそれと同様にインパクトのある作品でした。

この隣の部屋には以前ご紹介したマーク・ロスコの「赤の中の黒」やフランク・ステラの変形キャンバスの作品などもありました。ケネス・ノーランドなども面白いです。
 参考記事:マーク・ロスコ 瞑想する絵画 (川村記念美術館)

その隣の部屋は、新収蔵品のコーナーで、モニール・ファーマンファーマイアンとシャジア・シカンダーという2人の作家を紹介していました。

まず、モニール・ファーマンファーマイアンはイラン人の作家です。幾何学模様を重ねたような鏡面に、さらに複雑な幾何学模様を作るという面白い作品で、扇を重ねたような模様の作品などもありました。イラン人だから偶像ではなくアラベスク的な感性なのかな?これは分かりやすい面白さがあって好みでした。

一方、シャジア・シカンダーはパキスタン人で、大きなホルンや骸骨、手榴弾、人骨などを組み合わせたちょっと恐ろしいモチーフながらも幻想的な作風でした。こちらは1点のみだったので、もうちょっと観たかったかな。

1階の最後はピピロッティ・リストのインスタレーション作品です。靴を脱いで垂れ幕の中に入っていくと、天井に映される映像と床に置かれた大きな鏡を覗き込むように観る作品がありました。(周りはクッションのように柔らかいのでゴロ寝をしながら観ることができます)
草むらやどこかの廊下を歩く変わった視点の映像で、中央にまた違うアングルの円形の映像が写っていました。ぽわ~ん、ぷわ~んといった感じの音楽でちょっと不気味でラリってるような感じがw この人のことはしばらく忘れていましたが、以前観た原美術館の展示が面白かったのを思い出しました。(その頃はブログをやっていませんでした)


<木の時間、石の時間>
続いては木や石をテーマにした展示のようでした。

[木は育つ]
まずは木に関するテーマのようで、入口付近には大岩オスカールの作品が並ぶ部屋がありました。

大岩オスカール 「戦争と平和(戦争)」「戦争と平和(平和)」
2枚セットの大きめの作品(屏風?)で、戦争はモノトーン、平和は色鮮やかに描かれています。両方とも構図は似ていますが背景が違っていて、戦争の方は木に囲まれた家とその下で燃えているような街があります。それに対して平和は、背景には高速道路の通った日本の街が爽やかな色で描かれていました。ほぼ同じ構図でもこうも違うというのは面白かったです。

この近くには大岩オスカールの作品は3点程度あって、「ホワイト(オス)カー」という絵も良かったです。


[木の姿、人の姿]
次の部屋は駒井哲郎のエッチングが並ぶコーナーでした。精密に木を描いたものが多かったかな。部屋の中央には舟越桂の人物胸像が3点あり、これもかなり好みです。残念ながらスフィンクスは無かったですが、象嵌された目が独特でどこかシュールさを感じます。
 参考記事:駒井哲郎作品展 福原コレクション (資生堂ギャラリー)

[木の下で -石、そして土]
同じ部屋をすすむと栗田宏一が集めた小さな石を標本にした作品がありました。様々な模様や形の石が並んでいるのですが、よく集めたものだとちょっと驚きました。

この部屋の隣にはロジャー・アックリングの「テムズの木」という作品がありました。気になったのが、素材の覧に、木と太陽光線となっている点でした。また、この辺の部屋には中林忠良のエッチング作品もずらっと並んでいました。


<特集展示|淺井裕介>
最後は淺井裕介の特集展示です。部屋に入って驚くのは、壁画のように巨大な作品が並んでいる点に加え、足場を組むほどの巨大な製作中の作品がある点で、材料や脚立などもあってまさに製作中といった感じでした。
作風としては模様と動物がびっしり描かれれていて、おとぎ話のような楽しい雰囲気があります。茶色や黄色、赤など控えめで落ち着いた色合いとなっているのも好みでした。

特集展示の部屋を出ると通路には栗田宏一が集めた土や全国の砂などが展示されていました。


ということで、私としてはベルリン展よりもこちらの展示のほうが楽しめました。もう終わってしまいましたが、常設なのでまたいずれ観る機会もあるかと思います。

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