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【番外編】【金沢21世紀美術館】の常設 (2012年02月)

今日も引き続き金沢旅行の際の番外編です。前々回前回とご紹介した金沢21世紀美術館の特別展を観た後、常設も観てきました。この常設スペースには「サイレント・エコー コレクション展 II」と「ピーター・マクドナルド: 訪問者」という2つの展示がありました。

P2123107.jpg

【展覧名】
 サイレント・エコー コレクション展 II

【公式サイト】
 http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=45&d=1126

【会期】
 2011年9月17日(土)~2012年4月8日(日)

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【展覧名】
 ピーター・マクドナルド: 訪問者

【公式サイト】
 http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=45&d=1121

【会期】
 2011年4月16日(土)~2012年3月20日(火)

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【会場】
 金沢21世紀美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄】
 JR金沢駅(バスで20分くらい)


【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日12時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらもお客さんは結構いますがそんなに混んでいる感じではなく、自分のペースでゆっくりと観ることができました。

さて、常設展については前述の2つの展示となっていましたが、部屋ごとに区切られてはいるものの同じチケットで観ることができましたので一緒にご紹介しようと思います。常設も勿論 現代アート作品が並んでいて、公式サイトによるとこの美術館の蒐集方針としては、
 1.1980年以降に制作された新しい価値観を提案する作品
 2.1の価値観に大きな影響を与えた1900年以降の歴史的参照点となる作品
 3.金沢ゆかりの作家による新たな創造性に富む作品
となっているようです。詳しくはいつも通り気に入った作品を通してご紹介しようと思うのですが、常に展示されている恒久作品(作品自体が美術館と一体化しているものもあります)と、期間を区切って展示している作品もあるようですので、恒久展示品には●をつけておきます。

 参考リンク:
  金沢21世紀美術館の作品収集方針
  金沢21世紀美術館の恒久展示

アニッシュ・カプーア 「白い闇 IX」 ★こちらで観られます
これは白い円形のオブジェで、中に穴が開いています。下の方は明るく上の方は暗く見えるので、光でも出ているのか?と中のほうを覗き込んでも特に何もなく、光を反射しているようです。無地で真っ白なので、どういう形をしているのかも把握しづらく平面的に観えました。解説によると、この人は幼少期をインドで過ごしたそうで、仏教に影響を受けて無をテーマにした作品も作っているようです。

アニッシュ・カプーア 「L'Origine du monde」 ★こちらで観られます
部屋に斜面になった壁があり、そこに黒く大きな楕円の穴が開いています。実際、近くで見ても黒く塗っただけなのか、本当に穴が開いているのか分からず、作品が2次元なのか3次元なのか分からなくなってくるのが面白いです。真っ黒すぎて影が無いと平面に見えるのかと驚きます。 なお、「L'Origine du monde」はフランス語で、直訳すると「世界の起源」となります。これはギュスターブ・クールベの同名の作品を参照しているとのことでした。

余談ですが、数年前に森美術館の「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」でこの人のこういう作品があったように思うのですが、当時はブログをやっていなかったのでうろ覚えですw bunkamuraのだまし絵展でも似た作品があったのはメモしていました。。
 参考記事:奇想の王国 だまし絵展 2回目 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)

栗津潔 「風流」「コンポジション」「ピアノ炎上」 ★こちらで観られます
これは3点の映像作品が順番に流れている部屋です。部屋の中央にはピアノがあり、鑑賞者はこれを弾くことができます。(「ピアノ炎上」の上映中は弾けません) 「風流」では瓦礫のようなものが映し出されていたのですが、鑑賞者がそれを観た気分でピアノを叩くと、それによって雰囲気が変わって見えるというのが面白いです。私もランダムに適当に鍵盤をポロン… ポロン…と叩いていたら、後から入ってきた人が、何か物哀し気な作品ね~なんて言っていたので、私の演奏(?)が影響したのかも??なんて思いながら楽しんでいました。
「ピアノ炎上」は実際にピアノを燃やす映像で、ぱちぱちと燃えていく中、崩れると共にピアノが鳴っているというショッキングな作品でした。何かタブー的なやっちゃいけないことを見てしまったような衝撃を受けました。

ツェ・スーメイ 「ヤドリギ楽譜」
左から右に流れるように冬の木々が映し出される映像作品です。木には丸っこいヤドリギの葉っぱがこんもりしていて、それを音符に見立てるように音楽に合わせて丸い部分に白い印が出てきます。音楽は重く悲壮な感じの曲で死を連想するような雰囲気でしたが、発想が面白い作品でした。しばらくすると無音になりループしていきます。

山崎つる子 「Work」
Workという作品は数点あり、これはブリキやビニールシンナー、クリアーラッカーなどで銀色に半透明な抽象画?を描いたものです。他にもブリキの円筒の缶を「Work」と同じような素材で光沢感のある青に染め、それを無数に並べた作品「The Cans」(★こちらで観られます)や、同じくブリキの缶を赤紫色に染めて並べた作品など、ブリキを用いた作品が並んでいました。ブリキの鈍く光る質感が作品に活かされているように思います。
また、この人のコーナーの部屋には長方形の台に釘を打ってパチンコ台にしたような作品もありました。これは傾けると大量のビー玉が転がっていくインスタレーションで、その色合いも面白かったです。

ピーター・マクドナルド 「ディスコ」 ★こちらで観られます
今回の2つの展示のうちの1つで、ここは写真撮影可能な部屋だったので、写真を撮ってきました。

部屋をぐるっと取り囲むように斬新で楽しげな絵が描かれています。人々の頭が大きくて丸いのはアフロのイメージかな?w
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部屋の入口の辺り。
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部屋の中はロックっぽい音楽がかかっていました。気分はディスコです。

所々にあるテーブルの上にはこうした作品が並んでいました。
P2123061.jpg
この作家はイギリスに住んでいるようですが東京生まれだそうで、能面をモチーフにした日本風の絵もありました。

また、この常設展示室以外にも無料で観られるスペース(ミュージアムショップの隣)でもこの人の作品は展示されていました。

久世建二 「土のかたち」 ★こちらで観られます
これは中庭にあった無数の十字架状の黒い陶器作品です。その色形からして墓地を彷彿としますが、それをイメージしたものではないそうです。詳しい意味は分かりませんでしたが、独特の素材感のある作品でした。

角永和夫 「SILK」 ★こちらで観られます
これは9m×15mもある大きな凧のようなものが天井から吊り下がっている作品です。パッと見では和紙で出来てるのかな?なんて思いましたが、これはネットに2万頭もの蚕を放ち、絹を絡ませたもののようです。その為か薄い部分や厚い部分など結構まちまちな厚さとなっていました。その大きさと作成方法に驚く作品です。

レアンドロ・エルリッヒ 「スイミング・プール」 ★こちらで観られます
これはこの美術館でも特に有名な作品かな。ここも写真撮影出来ましたので写真でご紹介します。

こんな感じで中庭にあります。雪が降っている間は立ち入りできませんでした。
P2123033.jpg

近づいてみるとこんな感じ。プールの中に人が!!
P2123034.jpg
実は水面の部分は僅かで、その下は透明のガラスになっています。

こちらは下から撮った様子。
P2123065.jpg P2123069.jpg
下から見ても騙し絵的な感じですw 溺れているふりをして上の人を騙してみたり。
それにしても、さっきまで雪が降っていたのにあっという間に青空に…。金沢の冬の天気はコロコロ変わります。

大体これで有料エリアは終わりです。私はうっかり見逃しましたが、有料エリアのトイレにはピピロッティ・リストの●「あなたは自分を再生する」(★こちらで観られます)という作品もあるようです。…ピピロッティ・リストは以前、原美術館での展示でもトイレの作品がありましたw

無料で観られるところにも作品がありましたので、それも紹介しようと思います。

ジェームズ・タレル 「ブルー・プラネット・スカイ」
タレルの部屋という一角があり、部屋の中に入ってみると、何もありません。
P2123103.jpg
実はこの部屋は天井に正方形の穴があり、外に直結しています。

また曇ってきましたが、見上げるとこんな感じです。雪もちらほら落ちて来ました。
P2123102.jpg

これは地下へのエレベーター。写真を加工しているので分かりづらいですがガラス張りです。
P2123099.jpg
これは地下にエレベーターがいると、どうやって上にあがるんだろう?ちょっと疑問に思いますが下から押し上げる方式のようで変わっています。

外にも作品がありました。

オラファー・エリアソン 「カラー・アクティヴィティ・ハウス」 ★こちらで観られます
こんな感じの円形の大きめの作品です。
DSC_18883.jpg

中に入るとカラーフィルムが重なって出来ているのが分かります。
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ピンクと黄色が合わさったところはオレンジ、ピンクと水色で青といった感じで色が混ざっているのが面白いです。

色も形も現代的で綺麗です。
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LAR/フェルナンド・ロメロ 「ラッピング」
これは遊具みたいな感じでした。
DSC_18884.jpg

他にもフローリアン・クラールの「アリーナのためのクランクフェルト・ナンバー3」(★こちらで観られます)という作品が美術館の周りに設置されていました。

ミュージアムショップの隣では「ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 絵画修復プロジェクト展」という展示も行われていました。映像メインです。
 公式サイト:http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=46&d=1128
 会期:2011年10月22日(土)~2012年2月12日(日)


ということで、常設展もかなり楽しめる内容となっていました。ここの特徴としてはあまり小難しいことを考えなくても直感的に楽しめる点ではないかと思います。またそのうち行きたい美術館です。



<2012年02月 金沢編>
 【番外編】金沢旅行 兼六園・金沢城の写真
 【番外編】もりもり寿司 (金沢界隈のお店)
 【番外編】押忍!手芸部 と 豊嶋秀樹『自画大絶賛(仮)』 (金沢21世紀美術館)
 【番外編】モニーク・フリードマン展 (金沢21世紀美術館)
 【番外編】金沢21世紀美術館の常設 (2012年02月)
 【番外編】Fusion21 (金沢界隈のお店)
 【番外編】石川県立歴史博物館の案内
 【番外編】金沢市内の写真


 参照記事:★この記事を参照している記事


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Comment
No title
こんばんは。

スイミングプール、こんな風に見えるのですね!
レアンドロ・エルリッヒ、さすがです…

タレルの部屋やオラファーなど、ますます金沢へ行ってみたくなりました…
屋外作品も雪の中でまた、違った雰囲気が楽しめそうですね。
Re: No title
>naotomomoさん
コメント頂きありがとうございます。
スイミングプールは実際に観ると思っていた以上にリアルで面白いですよ。
カラー・アクティヴィティ・ハウスも良かったです。これは雪の有無でまた違った雰囲気かもしれませんね。
真っ白な中にカラフルなものがあるので、凄く目を惹きましたよ。

金沢は飛行機で行くくらいしかなかったので敬遠していましたが、行くとやっぱり楽しいですね。
北陸新幹線が開通したら何度でも行きたいくらいですw
金沢
こんばんは。
いつも美術館情報を楽しく拝見させていただいています。

私も昨年金沢旅行をし、兼六園や21世紀美術館へ行きました。
美味しいお寿司も食べましたe-349
今回の番外編を拝見させていただいて、
旅行の思い出がよみがえってきましたe-267
ありがとうございます!
Re: 金沢
>クオさん
コメント頂きましてありがとうございます。
クオさんも金沢を堪能されてきたのですね^^
観光もお寿司もしっかりおさえて楽しい旅だったのではないでしょうか。
私は1泊2日で滞在は24時間程度しかなかったのでかなりスケジュールが厳しかったですw
もうちょっと余裕をもってまた行ってみたいです。
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