関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

オン・サンデーズ(2018年10月)【ワタリウム美術館のお店】

前回ご紹介したワタリウム美術館の展示を観た後、美術館の地下にあるオン・サンデーズというお店で一息ついてきました。このお店は以前もご紹介したことがありますが、だいぶ前なので改めて記事にしておこうと思います。

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【店名】
 オン・サンデーズ

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.watarium.co.jp/onsundays/event/event&cafe.html
 食べログ:https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13054624/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 外苑前駅

【近くの美術館】
 ワタリウム美術館(美術館内のカフェです)

【この日にかかった1人の費用】
 600円程度

【味】
 不味_1_2_③_4_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(平日20時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
平日の夜だったこともあって、空いていて快適に過ごすことができました。

さて、このお店はワタリウム美術館のミュージアムショップの一角にあるカフェで、冒頭の写真のように現代アートと書庫が融合したような空間を観ながらお茶できるアート好きや本好きの方には非常に魅力的な雰囲気となっています。
 参考記事:on sundays' 【外苑前界隈のお店】
  
しかし、このカフェに行っても店員さんはいないので、入口にあるこのベルを鳴らすと注文を聞きに来てくれます。
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ベルで呼ぶ→注文→注文品が来ると同時にテーブル会計という流れです。

改めて店内の様子
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壁際にもアート作品が並んでいます。簡素ながらロフトみたいでワクワクしますw

こちらは逆側(入口側)
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ここにもアートグッズなんかを紹介していました。

店内には現代アートに関する品だけでなく、伝統的な美術の本もあります。
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カフェに入る前に本を買って持ち込んだら一層楽しるかも。アートグッズは他の美術館のショップよりも多彩です。写真は撮りませんでしたが、1Fにもアートグッズが並んでいて、季節ごとに特集を組んだりしているようです。

この日は夜だったのでお茶ではなく自家製ジンジャーエール(600円)を頼みました。
DSC04693.jpg
シロップが予め入っていて炭酸水で割る形式です。よくかき混ぜないとムラが出るのでじっくりかき混ぜてのみましたw ミントとレモンの香りの方が強めでしたが、ジンジャーも後味に来る感じでした。結構甘くて、辛口好きとしてはもうちょっと辛くても良かったw


ということで、魅力的な空間でのんびり休むことができました。このお店はカフェメニューだけでなくアートグッズを見て回るのも楽しいので、ワタリウム美術館の展示と共に楽しめるのではないかと思います。特に現代アート好きの方にオススメのお店です。





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超えてゆく風景 梅沢和木×TAKU OBATA 【ワタリウム美術館】

先週の水曜日の会社帰りに、外苑前のワタリウム美術館で超えてゆく風景 梅沢和木×TAKU OBATA(HYPER LANDSCAPE)を観てきました。この展示では一部で撮影可能となっていましたので、写真を使ってご紹介していこうと思います。

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【展覧名】
 超えてゆく風景 梅沢和木×TAKU OBATA(HYPER LANDSCAPE)

【公式サイト】
 http://www.watarium.co.jp/exhibition/1809hyperlamd/index.html

【会場】ワタリウム美術館
【最寄】外苑前駅

【会期】2018年9月1日(土)~12月2日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
結構お客さんがいましたが快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は梅沢和木 氏とTAKU OBATA(小畑多丘)氏の2人展となっていて、2人共1980年代生まれで2000年代に活動しはじめた若い世代のアーティストです。梅沢和木 氏は2013年の森美術館で行われた「LOVE展 アートにみる愛の形―シャガールから草間彌生、初音ミクまで」を始め、日本のみならず海外でも個展を開催されるなどの活躍ぶりのようです。一方のTAKU OBATA(小畑多丘)氏も東京藝術大学大学院を出た2008年に「トーキョーワンダーウォール公募 2008」大賞を受賞したのを皮切りに、「ART FAIR 東京2014」や東京藝術大学大学美術館陳列館での個展など、やはり新進気鋭のアーティストと言えそうです。会場は階ごとに内容が異なりましたので、簡単に各階ごとに振り返ってみようと思います、


<2階 TAKU OBATA(小畑多丘)>
まず2階はTAKU OBATA氏のコーナーで、遠景だけ撮影可能となっていました。文章で書くより分かりやすいので早速写真でご紹介。

会場に入って壁紙の派手さに驚きました。
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壁紙と絵画と彫刻が一体化するような感じの展示となっています。

こちらの像は手前が「B-GIRL Down jacket NAGAME」、奥が「B-BOY AllDown Quinacridone」という木彫りの像。
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見た目は現代的ですが木彫りというアナログな手法が意外で面白い。昔のポリゴンのキャラみたいに観えましたw

壁一面にアニメのキャラをコラージュしたようなものが広がります。
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多分、ゆっくりとかのネットミームのコラージュじゃないかな。ちょっとアニメに詳しくないので元ネタは分かりませんが…。

絵画作品もありました。
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幻想的な光景となっています。どこまでが絵か分からないくらい一体化してますw

他にもモニタに映し出された作品などもあって、多才な表現方法となっています。


<3階 梅沢和木>
続いての3階は梅沢和木 氏のコーナーで、ここは撮影出来ませんでした。こちらも入った瞬間に壁全体にアニメやネットミームやアダルト画像などのコラージュが広がっていました。よく観ると同じコラージュが連続しているのでパターンの繰り返しのようですが、圧倒的なヲタ的雰囲気ですw ハルヒとからき☆すたは何となく見覚えがあったり、ニコニコ動画の画面だったりするので10年位前のネットを表しているように思います。こちらには絵画作品やPCが並び、絵画はコラージュにアクリルで加筆しているそうで、具象のような抽象のような作品でした。また、PCでは壁紙の制作風景なんかを流していました。EeePCとか私も持っていたPCなのでちょっと懐かしい。もうネットブックって聞かないですね…。


<4階 TAKU OBATA(小畑多丘)>
再びTAKU OBATA氏のコーナー。こちらも撮影可能となっていましたが2点のみとなっています。

こちらは「物体と空」という写真作品
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何かのCGの素材のように観えますが…。解説も無くちょっとよく分かりませんでした。

こちらは「Takuspe buttai Abstract」
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こちらは映像で、先程の物体のようなものが浮遊したCG映像のようでした。しばらく観ていましたがスクリーンセーバーみたいな…w こちらも意図は分かりませんでした。


ということで、ネットやアニメのミームを作品に取り込むという新しさを感じる作風となっていました。何を意味しているのかは分からない難解さもあるので万人向けという訳ではないですが、ネット文化などが好きな方にはちょっと懐かしさもあって面白い展示ではないかと思います。


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京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ 【東京国立博物館 平成館】

前回ご紹介した展示を観る前に、東京国立博物館 平成館で京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけを観てきました。

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【展覧名】
 京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ

【公式サイト】
 https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/
 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1914

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2018年10月2日(火) ~ 2018年12月9日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
金曜日ということもあって、それほど混むこともなく概ね自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は京都の北野天満宮の近くにある大報恩寺の仏像がずらりと並ぶ展示です。平成館の半分のスペースで開催しているので点数自体はそれほどないのですが、快慶、定慶、行快といった慶派の作品ばかりの贅沢な内容です。大報恩寺は釈迦如来像を本尊とするお寺で、1220年に夢のお告げを受けた義空上人によって開山されました。弟子の澄空は徒然草にも取り上げられる等 当時から知られていたようで、現在では本堂が国宝となっているようです。展示は3章構成となっていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<大報恩寺の歴史と寺宝-大報恩寺と北野経王堂>
まずは慶派以外の大報恩寺の宝のコーナーです。大報恩寺は現在は廃絶してしまった北野経王堂の一切経や仏像・書画なども所有しているようで、そうした作品も並んでいました。

17 「千手観音菩薩立像」
恐らく40本+2本の腕を持つ千手観音です。(手の数を正確に数えた訳ではないですが、40本の手がそれぞれ25の世界を救うので合計1000の世界を救います) それぞれの手には蓮の花や水瓶、法具などを持ち、胸の前で合掌しています。頭の上には10体の化仏が乗っていて、顔はやや微笑むような表情に見えるかな。少し細めの体つきで、衣の膝下のヒダは翻波式衣文という平安前期の様式となっているそうです。大報恩寺の創建より古い品のようなので、このお寺の為に作ったわけではなさそうです。穏やかで優美な雰囲気の仏像でした。

この先は北野経王堂のコーナーで、「北野経王堂一切経」(★こちらで観られます)や「経王堂扁額」という額縁など ゆかりの品が並んでいました。当時の北野経王堂は洛中きっての巨大建造物だったそうで、狩野松栄らの絵で当時の様子を伺うこともできました。

16 院隆 「傅大士坐像および二童子立像(普成立像、普建立像)」 ★こちらで観られます
こちらは長い髭の傅大士(ぶたいし)という中国の人物の座像と、両脇で立つ2人の童子の像のセットです。この傅大士は輪蔵(八角形の書庫で、お経を入れて回すと読んだのと同じ功徳を得られる)を初めて作った人物だそうで、北野経王堂にも大きな輪蔵があったそうです。傅大士よりも両脇の童子の方が目を引いたのですが、2人ともめっちゃ笑顔で手を差し出す様子が迎え入れてくれるような感じに観えて、生き生きしていました。ちなみに北野経王堂の輪蔵は現在でも愛知県に移されて残っているのだとか。


<聖地の創出―釈迦信仰の隆盛>
続いては釈迦如来像を中心とした十大弟子などの仏像が並ぶコーナーで、今回の見どころです。大報恩寺が建立された13世紀は末法の世を強く実感させるような荒廃した時代だったそうで、戦乱や災害が絶えなかったようです。こうした時代を背景に、釈迦の教えに立ち戻るべく釈迦信仰が隆盛したそうで、義空は法華経の教えに基づいて大報恩寺を創建しました。そして大報恩寺には釈迦の他に文殊菩薩、弥勒菩薩、十大弟子も安置されたそうで、これは法華経序品に書かれる霊鷲山釈迦説法(りょうじゅせん)を表しているそうです。ここにはそうした意図で作られた仏像が並んでいました。

5 「誕生釈迦仏立像」
こちらは釈迦が誕生した時の様子を表した立像で、右手は天を指差し左手は地を指して「天上天下唯我独尊」と唱えたシーンとなります。生まれたてとは思えないくらいスラッとした体型で、髪は螺髪ではなく渦巻くような髪となっているのが珍しいかも。解説によると、これは釈迦本来の姿を意識しているとのことです。なお、このスタイルの釈迦像は灌仏会の際には頭から甘茶をかけるので、これもそのように使われたようでした。

そして次の部屋に進むと行快の「釈迦如来坐像」を中心に快慶(と工房)の十大弟子像がずらっと並んでいます。十大弟子はそれぞれ○○第一という特徴が付けられていて、序列は弟子入りした順番となっているようですが イケメンの阿難陀(あなんだ)以外はこれと言って外見に関する記述が無いので、仏師たちの想像で作られるようです。

2-2 快慶 「目犍連立像」 ★こちらで観られます
こちらは神通第一という超能力者の目犍連(もっけんれん) 左手を前に差し出すような感じで立ち、やや屈むような姿勢かな。目が玉眼となっていて、眼の前の人を見上げるような表情にも観えます。写実的で、特に皺の表現が見事です。痩せている割に がっしりしていて、快慶ならではの滑らかさを感じさせる肉付きとなっていました。

1 行快 「釈迦如来坐像」 ★こちらで観られます
こちらは快慶の高弟である行快による釈迦如来の坐像です。右手を挙げ左手を差し出す姿で表されていて、金で彩色されています。やや釣り上がった目が強い印象ですが、体つきは丸みがあるので威厳と柔らかさの両方を感じます。解説によると、釈迦如来像は普通は文殊菩薩と普賢菩薩を伴うのですがこの像は普賢菩薩の代わりに弥勒菩薩を伴った三尊となっているそうで、これは法華経序品によるものとのことでした。

この辺で音声解説が面白いことを教えてくれました。仏師の個性は仏像の耳の形に特徴が出るそうで、この釈迦如来を例にしていました。今後の鑑賞の際はそこもチェックしないとw

2-9 快慶 「羅睺羅立像」 ★こちらで観られます
こちらは釈迦の息子のラーフラ(らごら)で正しい修行の密行第一とされます。左手に巻き物を持って右手を出し、口を開いて眉を広めるような顔をしています。よく観ると口の中に歯までしっかり作られていて驚きです。また、体には切金による彩色の跡が残っていて当時の姿をしのばせました。(十大弟子全てに彩色していたみたいです)

2-3 快慶 「大迦葉立像」 ★こちらで観られます
錫杖?を持ち、左手を差し出して立つ姿の頭陀第一(托鉢。清貧)の大迦葉の像です。口を開けて歯が欠けてるのが老人っぽさを醸し出しています。眉をひそめているような表情ですが、怖いというよりは親しみやすく感じるかな。なお、この大迦葉立像には不思議なエピソードが残っていて、義空が大報恩寺の大黒柱の材木を探していた際、材木問屋の夢の中に「材木を譲って欲しい。寺の刻印をつけておこう」と言う老人が出てきたそうです。その翌朝に材木を確認すると刻印があったそうで、大報恩寺を訪ねたら 夢に出てきたのは正にこの大迦葉立像だったのだとか。快慶の仏像だけに魂がこもっているのでしょうか? 中々面白い話でした。

他の弟子もみんな個性的で面白かったです。「阿難陀立像」もちゃんとイケメン姿で表されていますw 阿難陀の体の中には経巻が入っていたようで、それも近くで展示していました。
この先には仏後壁画という仏像の後ろの壁画に関するパネル紹介がありました。痛みが激しくて分かりづらいですが、赤外線写真によって霊鷲山釈迦説法を題材にして描かれているのが分かるようでした。


<六観音菩薩像と肥後定慶>
最後は肥後定慶による榧の木で出来た六観音菩薩像のコーナーです。大報恩寺には1224年に肥後定慶が作った六観音像が伝わっていて、光背・台座も含めて全て当時のままという奇跡的な品となっています。六観音はそれぞれ六道の人々を救ってくれるそうで、展覧会場の右から順に
 如意輪観音:天道
 准胝観音:人道
 十一面観音:修羅道
 馬頭観音:畜生道
 千手観音:餓鬼道
 聖観音:地獄道
を救済しているそうです。ここにはずらっと6体すべてが勢揃いしていました。なお、展示会期の前期では光背あり、後期は光背なし で展示しているようで、私が観た時は光背ありとなっていました。

6-6 肥後定慶 「如意輪観音菩薩坐像」 ★こちらで観られます
片膝をついて座る6本の腕を持つ如意輪観音で、頬に手をあてて物思いに耽るような表情をしています。玉眼が光っていて見通すような顔にも見えるかな。そのポーズと共に衣のヒダの表現なども優美で、静かな印象を受けました。

6-5 肥後定慶 「准胝観音菩薩立像」 ★こちらで観られます
こちらは18本の腕を持つ准胝(じゅんてい)観音で、中に定慶のサインがあったそうです。ふっくらした体つきをしていて、それぞれの手は蓮の花や法輪、法具などを持っています。解説によると、髪型が流れるようで、衣文の装飾性などが定慶の特徴が出ているとのことでした。

馬頭観音の怒ったような表情なども見応えありました。そして最後の聖観音だけは撮影可能となっていました。

6-1 肥後定慶 「聖観音菩薩立像」 ★こちらで観られます
20181005 143451 20181005 143503 20181005 143523
せっかくなので各方向から撮ってみました。やや厳しい表情に見えるのは地獄担当だからでしょうか。地獄に落ちたら救ってほしい…


ということで、十大弟子と六観音のコンプリートに驚かされる展示でした。この秋は仏像の展示も充実していますが、やはり慶派は特に見応えがあるので仏像好きの方は必見の内容ではないかと思います。今年の秋の上野は非常に熱いラインナップです。



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フェルメール展 (感想後編)【上野の森美術館】

前回に引き続き上野の森美術館の「フェルメール展」についてです。前編は2階の1~5章についてでしたが、今日は1階のフェルメールルームについてです。まずは概要のおさらいです。

 前編はこちら

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【展覧名】
 フェルメール展

【公式サイト】
 https://www.vermeer.jp/

【会場】上野の森美術館
【最寄】上野駅

【会期】2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
1階はフェルメールだけのコーナーとなっていますが、8点だけで部屋が広めとなっているので2階に比べると混雑感はそれほどでも無かったかな。入場時間制の合間を狙って行ったので、各作品を間近でじっくり観ることができました。

さて、今回の展示では解説機とハンドブックが付いてきますが、フェルメール自身についての説明はあまりされていません。フェルメールについては以前の記事で紹介したのですが、折角の機会なので、そこからいくつかエピソードをおさらいしていこうと思います。
まず、フェルメールは宿屋の息子として生まれ、17世紀オランダのデルフトで活動した画家です。ほとんどデルフトから出ることなく一生過ごしたという話もあるくらいで、「デルフトの眺望」という風景画の傑作も残しています。 フェルメールは最初は歴史画(物語画)を描いていましたが すぐに風俗画に転向したそうで、ピーテル・デ・ホーホの強い影響を受け、正確な遠近法で捉えた市民の日常などを描きました。また、初期作品にはレンブラントの暖色、1650年台以降は明るさや光の効果にカレル・ファブリティウス(レンブラントの弟子でデルフトで起きた弾薬庫爆発に遭い32歳で夭折した人物)からの影響も観られるそうです。フェルメールが寡作なのは裕福な妻と結婚し美術商をしていたので、制作に追われなかったことに加え、若くして死んだためと考えられています。生前は聖ルカ組合の理事になるなど当時から高い評価だったようですが、作品数の少なさが災いして死後しばらくすると忘れられた存在となり、再び脚光を浴びるのは19世紀に入ってからです。最も有名な「真珠の耳飾りの少女」は1881年に競売にかけられ、現在の価値で1万円くらいで買われた程なので、相当に忘れられていたのではないかと思います。(作品もボロボロになってるような時代があったようです) その後もナチスの時代にはメーヘレンという贋作者が真似して描いたりちょいちょいと歴史の中にもフェルメールの名前が出てきますが、本格的に注目を浴びるようになったのは1995~96年に行われた「フェルメール展」がきっかけです。この展示では20点ほどの作品が並んだというので驚きですが、その熱は日本にも伝わって人気に火が付き、2000年の大阪での展示を皮切りに、2008年の「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」(まだブログでなくmixiで書いてましたw)や2012年の「マウリッツハイス美術館展」などでは多くのファンを魅了しました。(今回は2008年の展示に出ていた作品が結構来ています)
その魅力は ラピスラズリの青を使ったり写真を使って描いていたという技術的な点もさることながら、人々の生活の中からドラマと叙情性を感じる点ではないかと思います。特に室内の絵では静寂の中で一点に集中するような構図が多く、今回の展示でもそれが強く感じられる作品があると思います。詳しくは各作品と共に振り返ってみようと思います。

 フェルメールの参考記事:
  マウリッツハイス美術館展 (東京都美術館)
  マウリッツハイス美術館展 2回目(東京都美術館)
  ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年 (国立西洋美術館)
  フェルメールからのラブレター (Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメールからのラブレター 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
  ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)
  フェルメール光の王国展 (フェルメール・センター銀座)


<第6章 光と影:フェルメール>
今回の展示では会期によって入れ替えがあり、「赤い帽子の娘」2018年10月5日(金)~12月20日(木)、「取り持ち女」2019年1月9日(水)~2月3日(日)となります。ここは会場の外にあった看板をアップした写真を使ってご紹介いこうと思います。(勿論、館内は撮影禁止です)

40 ヨハネス・フェルメール 「マルタとマリアの家のキリスト」 ★こちらで観られます
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こちらは宗教画を描いていた初期の作品で、2008年以来の来日じゃないかな。マルタとマリアという姉妹の家にキリストが招かれた際の話(ルカによる福音書10章)を題材にしていて、マリアがキリストの傍らでじっと話を聞いている所にマルタがやってきて、ちっとも手伝わない!と注意しています。しかしキリストは「マリアは良い方を選んだ」と言い、つまりキリストの話を聞くことが何よりも重要だという話です。割と他の作品に比べると粗ら目のタッチでややぼんやりして観えますが、明暗が強めでカラヴァッジョの流派からの影響も感じられるかな。キリストの頭の周りには輝きがあるなど、宗教画としての雰囲気があります。今回の展示では風俗画多いので、ちょっとこれだけ異色に見えるかもしれません。

43 ヨハネス・フェルメール 「ワイングラス」 ★こちらで観られます
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こちらは初来日の作品。女性がワインを飲み終わりそうな所に、継ぎ足そうを構えている男…。飲み会でどんどん女性に飲ませる輩みたいなもんでしょうかw この絵には2人の関係性を思わせるモチーフが散りばめてあり、椅子の上のリュートは愛を暗示し、ステンドグラスの中に描かれた馬具を持つ女性は節制を表すそうです。つまり色恋沙汰を戒めるという意味らしいので、やっぱりそうかと言った感じですw この部屋は「二人の紳士と婦人(ワイングラスを持つ娘)」でも描かれていて、題材もよく似ているように思います。外から差し込む光の柔らかさや、2人に光が当たって反射する様子など非常に見事な表現となっていました。

46 ヨハネス・フェルメール 「手紙を書く女」 ★こちらで観られます
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こちらを観て微笑む様子が可愛らしい女性。ふと目があった時のときめくような気持ちが込められているように思えます。以前観た時の解説を振り返ると、背景の画中画は愛の調和を示す楽器を描いているということなので恋人に宛てた手紙でしょうね。ちなみにフェルメールは手紙を描いている人を6点ほど描いているお気に入りの題材で、この女性の黄色いサテンのコートもよく出てきます。
 参考記事:フェルメールからのラブレター (Bunkamuraザ・ミュージアム)

47 ヨハネス・フェルメール 「赤い帽子の娘」 ★こちらで観られます
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こちらは日本初公開の作品で、12月20日(木)までの展示です。顔の下辺りに非常に強い光が当たっていて、白を大胆なタッチで使っています。それが離れてみると反射光に見えるのだから面白いです。驚いたような表情も新鮮で、いきなり写真を撮られたような顔に観えますw 近代絵画を先取りしたような主題と表現となっていました。

42 ヨハネス・フェルメール 「牛乳を注ぐ女」 ★こちらで観られます
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フェルメール作品の中でも特に評価の高い作品で、2007年に国立新美術館で観た以来かな。黄色と青の取り合わせが非常に明るく感じられ、その視線の先に自然と目が行きます。そして画面全体の時間が止まっている中で白い牛乳だけが静かに流れている… そんな構図がフェルメールっぽさの1つじゃないかと思います。パンなどには点綴法と呼ばれる光の粒が使われているなど光の表現も流石で、柔らかくも強い光です。 それにしても毎度観るたびにテーブルの形がちょっと変わっているのが気になりますw (これを立体にしたのを以前の展示で観たような記憶が…)

ヨハネス・フェルメール 「手紙を書く婦人と召使い」 ★こちらで観られます
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こちらも手紙を書く女性を描いた作品。こちらも静けさの中にペンだけが動いているという感じで穏やかな光景に見えますが、手前には書き損じの手紙が転がっています。 以前観た際の解説を振り返ると、テーブルクロスの色に表されるように最初は激情に駆られて手紙を書いていたのではないかとのことですが、背景には赤子のモーセが敵であるファラオの娘に拾われるという「モーセの発見」の絵が飾ってあり、これは敵にも慈悲を持つ主題であることから、人の心を落ち着かせる物語であり、女主人は平静を取り戻しているのを示していると考えられるようです。一方で召使いは早くしてくれという感じがヒシヒシと伝わって来るように思えますが…w こちらも明暗が強めに感じられました。

46 ヨハネス・フェルメール 「真珠の首飾りの少女」 ★こちらで観られます
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こちらも黄色い服の女性で「手紙を書く女」と同じ服であるのが分かると思いますが、フェルメールの財産目録にも載っているらしいのでお気に入りのモチーフだったんじゃないかな。壁に掛かった鏡に首飾りを見せて何だか嬉しそうな顔をしています。以前観た際の解説では椅子の上には元々リュートがあったとのことなので、やはり恋のテーマではないかと思います。他の作品と比べると光が柔らかく感じられて、優しい雰囲気に思えました。こういう心の機微を上手く全体で表現しているのがフェルメールの魅力の1つかな。それにしてもいつの世も女性の身支度は絵になりますね。
 参考記事:ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年 (国立西洋美術館)

ヨハネス・フェルメール 「リュートを調弦する女」 ★こちらで観られます
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こちらも2008年の展示で見覚えがありました。そろそろ見慣れた黄色い服を着て、何故か外を観ながら調律しています。解説によると手前に引かれた椅子や床に置かれたヴィオラ・ダ・ガンバと楽譜がもう1人の奏者の存在を暗示しているということで、もしかしたら恋人でしょうか? 例によってリュートを持ってるしw 背景の地図は愛する人が遠くにいるのを示唆しているのでは?とのことでした。題材も謎めいていますが明暗もミステリアスな雰囲気で、ややぼやっとした光の表現が他とやや違って観えました。ちなみにこちらは発見当時ボロボロで真作じゃないと思われていた時期もあるようですが、その後の科学調査で真作と認定されています。

41 ヨハネス・フェルメール 「取り持ち女」 ★こちらで観られます
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ついでにまだ公開していないこちらは2019年1月9日(水)~2月3日(日)という短い期間しか展示されない品。歴史画から風俗画に転向するころの作品だそうで、比較的初期の作品です。胸に手を回されながら金を受け取ろうとする取り持ち女の胆力が凄いw それぞれの表情やキラリと光るコインに自然と注目してしまいます。この時代の風俗画のように何か教訓めいた意味もありそうな気がしますが、どうでしょうか。まだ実物を観たことが無いので、年明けに再度行こうか検討中です…。


勿論、今回は様々なグッズも売っていたのですが、結構狭いので混雑時は大変なことになるかも…w 私はフェルメールの画集は既に持っているので、初来日の「ワイングラス」の絵葉書を買いました。

と、非常に満足できる内容となっていました。これだけ一気にフェルメールの作品を観られるのは滅多にないので、美術ファンだけでなく多くの人に良い機会なのではないかと思います。会期末には一層の混雑が予想されますので気になる方はお早めにどうぞ。伝説になりそうな展示です。



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フェルメール展 (感想前編)【上野の森美術館】

先日の金曜日の会社帰りに上野の森美術館で「フェルメール展」を観てきました。非常に見応えがある展示でしたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。なお、この展示には会期によってフェルメール作品1点の入れ替えがありますが、私が観たのは10月上旬の頃の内容でした。

DSC04720.jpg

【展覧名】
 フェルメール展

【公式サイト】
 https://www.vermeer.jp/

【会場】上野の森美術館
【最寄】上野駅

【会期】2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
時間帯によっては非常に混んでいて、入場30分待ちくらいの行列が出来るようでした。しかし、並べば入れる訳ではなく、この展示の当日券は時間帯ごとに入場の制限があるので注意です。この時間割が今後も同じかは定かではないですが、この日はこんな感じで分かれていました。
DSC04730.jpg
前の回と観終わった後の次の回を観察して分かったのですが、例えば15時~16時半の回は15時丁度くらいが無茶苦茶混みます。しかし16時くらい(入場開始から1時間後)は並ばず入れるくらいのようでしたので、私は17時からのチケットだけ先に買っておいて、東博とカフェで時間を潰してから18時くらいに入場したら 並ばずに中も比較的落ち着いて鑑賞できました。まあ皆がそれに気づいたら使えなくなる技かもしれませんが、入場開始直後よりはマシだと思います。公式ツイッターでは混雑状況やチケットの状況などをつぶやいているようですので、お出かけされる際にはチェックすることをおすすめします。
 公式ツイッター:https://twitter.com/VermeerTen


さて、この展示は今やかなり有名な画家の1人となった17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメールと、同時代の画家たちの作品が並ぶ内容となっています。フェルメールが人気になったのはここ20年ほどくらいですが、今やこれだけの活況となる知名度となったのは 作品自体の魅力に加えて「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」の数奇な運命や現存作品が35点しか無いなど、様々なドラマが盛り立てているように思えます。しかも今回の展示では35点中9点(会期中入れ替え1点あり)も観られるので、これだけで一気に1/4も観られる計算となるので盛り上がるのも当然と言えそうです。フェルメールについては過去の記事でも何度も書いたので、詳しくは参考記事を読んで頂ければと思いますが、今回の展示では2階の周辺画家の作品を観てから1階のフェルメールルームで一気に8点のフェルメールを観ていくという流れになっていました。詳しくは各章ごとに気に入った作品を通してご紹介していこうと思います。なお、この展示はチケット代は一般が2700円と相場に比べて1000円近く高いですが、その代わりに全員に音声ガイドが付いてきます。また、作品リストも結構立派で全作品に簡単な解説が載っていました。これで美術初心者でも分かりやすく解説してくれるので、幅広い層が楽しめるのではないかと思います。
 フェルメールの参考記事:
  マウリッツハイス美術館展 (東京都美術館)
  マウリッツハイス美術館展 2回目(東京都美術館)
  ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年 (国立西洋美術館)
  フェルメールからのラブレター (Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメールからのラブレター 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想前編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 感想後編(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 2回目(Bunkamuraザ・ミュージアム)
  ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
  ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画 2回目 (国立西洋美術館)
  フェルメール光の王国展 (フェルメール・センター銀座)



<第1章 オランダ人との出会い:肖像画>
前置きが長くなりました。フェルメールは最後の章だけで、まずは同時代の画家たちによる肖像のコーナーです。17世紀オランダでは裕福な市民が肖像を所有するのが慣習化していたようです。

1.2 フランス・ハルス 「ルカス・デ・クレルク(1593年頃~1652年)の肖像」 「フェインチェ・ファン・ステーンキステ(1603/04年~1640年)の肖像」
2枚セットの夫婦肖像画で、左に腰に手を当てこちらを見て微笑む黒い服の男性、右にこちらを見ながらやや怪訝な表情の黒い服に襞襟の付いた女性が描かれています。いずれも等身大で描かれ、写実的ながらも生き生きとした印象を受けます。2人とも敬虔なプロテスタントのようでこの服装は厳格な規定に従っているとのことでした。

7 ヤン・デ・ブライ 「ハールレム聖ルカ組合の理事たち」
こちらは7人の黒衣の男性が集まっている肖像で、そのうちの1人の男が持っている円盤には聖ルカが描かれています。この聖ルカは医者と画家の守護聖人で、この会合は芸術家の職業組合であることを示しています。こちらを振り返っている人が5人くらいいて、鑑賞者自身が来訪したようなリアクションに思えるかな。陰影が強く、ドラマチックで写実的な画風となっていました。


<第2章 遠い昔の物語:神話画と宗教画>
続いては神話と宗教を主題にした作品のコーナーです。特に聖書を題材にした作品が並んでいました。

8 ヘンドリック・テル・ブリュッヘン 「東方三博士(マギ)の礼拝」
こちらは大型の作品で、幼子イエスの誕生を祝いに来た東方三博士と多くの人達が描かれています。特に目を引くのは博士の持っている金属の杯で、光沢があり立体感もあって非常にリアルな質感です。よく観ると割と荒目のタッチとなっているのに浮き出すように見えるのに驚きです。それ以外の部分はくすんだ落ち着いた雰囲気に見えるかな。肝心の幼子イエスはあまり可愛くなく、普通の赤ちゃんに観えましたw 

この辺にはカラヴァッジョに影響を受けた陰影が劇的な作品もあって、画風も様々な画家たちの作品が並んでいます。

12 レンブラント周辺の画家 「洗礼者ヨハネの斬首」
羽飾りを付けたサロメと、洗礼者ヨハネの首を盆に乗せて刀を携える処刑人を描いた作品です。サロメは舞の褒美に王に洗礼者ヨハネの首を所望したという話に基づいていて、ここでは既に洗礼者ヨハネは目を閉じた生首で生気がありません。サロメは派手な格好ですが、怪訝そうな顔が悪女っぽい雰囲気w 一方の処刑人は原始人みたいな荒々しさを感じさせます。2人は強い光が当たるドラマチックな演出となっていて、この辺にレンブラントからの影響を感じさせました


<第3章 戸外の画家たち:風景画>
続いては風景画のコーナーです。今では風景画はよく観るジャンルですが、昔は風景画は地位の低いテーマで、17世紀頃から徐々に浸透していきました

18 コルネリウス・ファン・ウィーリンヘン 「港町近くの武装商船と船舶」
こちらは武装した貿易船と、周りにも沢山の船が描かれた作品です。さらに手前には小舟と漁師たちの姿もあり、港の活況を伝えています。かなり精緻で写実的に描かれているので実景のように思ってしまいますが、実はこれは描きとめたスケッチを合わせて想像で描いているのだとか。作者の想像力に驚く作品でした。

この隣には当時人気だった捕鯨を描いた作品もありました。

19 シモン・デ・フリーヘル 「海上のニシン船」
こちらは海の上の小さな漁船を描いた作品で、全体的に黄土色がかった色彩となっています。水平線が低いこともあって広々とした雰囲気で、モヤがかかったような柔らかい表現となっています。波の色の違いなども幻想的で、何処と無くターナーを思い起こすようす光景となっていました。

23 エマニュエル・デ・ウィッテ 「ゴシック様式のプロテスタントの教会」
こちらは非常に大きな教会の内部を描いた作品で、下の方にはタイルを剥がして墓穴を掘ったシャベルを持つ男と、マントの男が何か話しています。その脇には2頭の犬の姿もあり、教会の中とは思えないくらい自由な感じw 天井が高くゴシックのコウモリ天井となっていて光が差し込む様子が美しく、柔らかくも明暗が強く感じられると共に、安らぐような神聖さも表れています。特に柱に光が降り注いで白く反射しているのが目を引きました。これも実景のようなリアルさがあるのですが、いくつかの教会の細部を組み合わせているとのことでした。

この他にも教会内部を描いた作品がいくつかありました。


<第4章 命なきものの美:静物画>
ここはあまり点数がありませんでした。静物を描いた作品のコーナーです。

26 ヤン・ウェーニクス 「野ウサギと狩りの獲物」
こちらは木に足を吊るされた野うさぎと 何種類かの鳥が倒れている様子が描かれた作品です。背景には大きな花瓶や遺跡のようなものもあって、ちょっと神話的な雰囲気おあります。うさぎには強い光が当たり、ふわふわした毛並みの見事さがよく伝わってきます。かなりリアルで暗い部屋で見たら壁からうさぎが吊るされているように見えるかも? 現代人からすると残酷な主題に思えますが、こうした画題は狩猟をする裕福な貴族の象徴としてよく描かれたモチーフです。この作者の力量は相当で、見栄えのする作品でした。


<第5章 日々の生活:風俗画>
続いては人々の生活を描いた風俗画のコーナーです。風刺や教訓の込められた作品が並んでいました。

36 ヤン・ステーン 「家族の情景」 ★こちらで観られます
オランダの風俗画と言えばこのヤン・ステーンです。この作品ではテーブルを囲んで楽しんでいる家族を描いていて、中央には抱きかかえられる赤ちゃんの姿があります。しかし周りは酷い有様で、仰け反って行儀悪い女性や 足を投げ出してパイプを吸う男性などろくでもない親共です。解説によると、これは「老いが歌えば若きは笛吹く」(この親にしてこの子あり)という諺が込められているようでした。この子もこうなってしまうんでしょうね…。いつの世も大人は子供が真似しないよう行儀の悪さには気をつけないといけませんw

33 ハブリエル・メツー 「手紙を書く男」「手紙を読む女」 ★こちらで観られます
こちらは今回のフェルメール以外の画家で最も目を引きました。ここでは2枚の作品が対になっていて、テーブルに向かって手紙を書く男性を描いたものと、縫い物をしている女性(女中?)と手紙を持ちつつカーテンを開けて嵐の中の船を描いた画中画を観ている作品となっています。一見するとフェルメールの絵にも出てきそうな題材でフェルメールから影響を受けているらしいですが、この絵にも教訓が込められていて、男については背景にある画中画に描かれた山羊と額縁に表された鳩が欲望を象徴することから、移り気を示しているようです。一方の女性も嵐の絵から「愛は荒れる海のよう」という比喩を表しているとのことでした。恋文のやり取りをしてラブラブなのか?と思ったら… 嵐が来そうですねw モチーフの意味が分かるとお互いの様子や教訓まで知ることが出来るのが面白い作品です。

35 ピーテル・デ・ホーホ 「人の居る裏庭」 ★こちらで観られます
こちらは赤い屋根のある小さな家の裏庭を描いた作品で、手前にはテーブルを囲って向かい合う男女の姿があります。その後ろには立って2人の間に立つ女性や、何か作業している女性の姿もあります。2人の男女は酒を飲みながら談笑していて、陽気な印象を受けるかな。また、白い光が当たる柱を始め、窓や塀、柵といった水平・垂直の線が多い構図が面白く、幾何学的ですっきりした構成に思えました。


ということで、ここまでが2階の内容です。前半は全くフェルメールの作品はありませんが、同時代の画家も面白い作品が並んでいるので、それも見逃せないところではないかと思います。次回はいよいよフェルメールのコーナーとなりますので、じっくりご紹介していこうと思います。


 → 後編はこちら




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